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15歳のeSports優勝者「ゲームは学校では体験できない成長の機会を与えてくれる」

DIGITAL CULTURE
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ライター塚本 紺
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対戦型のコンピューター・ゲームを本格的なスポーツ競技としてとらえるeSports(エレクトロニック・スポーツ)。世界規模での大会に参加して高額の賞金を獲得し、数千万円〜億単位の年収を稼ぐプロのプレイヤーも存在する。

eSportsの中で新しく注目を集めている種目が、デジタル・カードゲーム「ハースストーン(Hearthstone)」だ。30枚のデッキを組み、それぞれのカード特有の能力を使って相手を倒すことが目的...と聞けば、類似のカード・ゲームをいくつか思い浮かべられる人も多いのではないだろうか。

eSportsの分野では、若くして高額の賞金を獲得するプレイヤーも多く生み出されてきた。そんな一人が今年3月にアメリカ冬大会で優勝し、弱冠15才にして2万5000ドル(約250万円)の賞金を獲得したウィリアム・バートンだ。eSportsプレイヤーとして「アムニージアック(Amnesiac)」の名で知られている彼がTEDトークで行った講演は、eSportsやゲーム全般を「子どもたちの健全な成長の妨げ」と考える人々の目を覚ます内容だ。

ゲームは自分のアイデンティティの中で大きな部分を占めています。でもそれは、自分の中で、数学や、テニス、バスケット、家族と一緒に旅行することよりもゲームの方が大事だというわけではありません。私がこれまで対戦してきたプレイヤーたちもゲームだけをしているわけではなく、高校のチェス大会優勝者だったり、優秀なテニス選手だったりします。そして皆、すごく良い性格をしています。

多くの人はゲームを"賢い子どもたちにとって汚点となる"と考えていますが、実際はそうではありません。ゲームは、私という人間を構成する要素の重要な一部なのです

15才にしてすでに世界中を飛び回り高額の賞金をめぐって競い合っているウィリアム。自分の考えを自信を持って雄弁に語る姿にも感心させられる。「目の下にクマを作り、悪い姿勢で、ろくな食事もせず、ずっとゲームをしている、というのが長らくメディアが描いてきたゲーマーの姿でした」とメディアへの批判も鋭い。

ウィリアムの主張は「ゲームだけじゃなくて他のこともしてるんだから批判するな!」という古いものではない。彼にとっては、ハースストーンを舞台に世界規模で競争することは、学校では体験できない成長の機会を与えてくれるものなのだ。

僕の学校での成績はいつも良いものでした。ですが、学校が自分にとって欲しいものすべてを提供してくれるわけではありませんでした。ゲームは、自分と外とのつながりを作る手段になります。私のように学校外で学習をすることに大きな関心を持つ人間にとって、非常に素晴らしいチャンスを与えてくれるのです。

特にハースストーンは基本的にプレイヤーが下す意思決定によって勝敗が決まります。このゲームを通じて、大きなプレッシャーの下でも冷静でいること、そして状況を正確に認識することについて学ぶことができました

そんな大げさな、と思うかもしれない。彼がつい今年初めに経験したアメリカ大会では、8万人の観衆がステージ上にいる彼の一挙手一投足に注目していたのだ。プレイヤーたちが装着するヘッドホンからホワイトノイズが流されていたというエピソードからも、彼らが置かれていた極度の緊張状態が想像できるのではないだろうか。

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今後さらに巨大になっていくことが想像されるeSports業界。彼のような存在がゲーマーの社会認知を大きく変えていくのかもしれない。