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3 #カルチャーはお金システムの奴隷か?

スニーカー転売の黒船「StockX」が語る、転売経済の落とし穴と未来

NEW INDUSTRY
エディターJay Kogami
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スニーカー転売の概念が変わろうとしている。

日本をはじめ、世界的に転売をビジネスにするサイトやアプリは後を絶たない。そして急速にビジネス化と産業化が進むカルチャーの世界において「転売」は賛否両論を呼び問題視されやすいトピックでもあることは、昨今のチケット転売の議論がすでに物語っている。そのなかでも、特に2000年代に入り一大ビジネスと化したスニーカーカルチャーの世界では、高額で希少価値の高いレアスニーカーが発売と同時に転売市場で出回ることが常識となった。

ここでスニーカー好きであれば必ず直面するひとつの疑問がある。転売とどう向きあえばよいのだろうか?

今、スニーカー転売を軸にブランドと消費者の関係を変えるかもしれないスタートアップに注目が当たりはじめている。スニーカー転売を株式取引の仕組みで合理化する転売プラットフォーム「StockXだ。

StockXにはAir JordanやYeezyといったモデルや、シュプリーム、Kith、Off-White™、Bape®などのブランドが並ぶ。商品サイトを除くと、およそ転売サイトとは思えない、株式サイトのようなグラフや変動率が並んでいる。StockXはこれまで5000万ドルの資金調達を行ってきたが、投資には名のあるVCに加えて、ヒップホップアーティストのエミネム、音楽プロデューサーのスティーブ・アオキ、ファッションモデルのカーリー・クロス、俳優のマーク・ウォルバーグが名を連ねるだけに、StockXの注目度とスニーカー転売のビジネス価値の高さが伺える。

スニーカー業界でさえも理解しきれない転売の概念を覆すStockXは、どのように生まれたのだろうか。来日したStockXの共同創業者でCEOの、ジョシュ・ルーバー(Josh Luber)に、都内で話を聞いた。

ジョシュ・ルーバー | Josh Luber

StockX 共同創業者兼CEO

ミシガン州デトロイトに本社を置く、世界初の「モノの株式市場」である転売マーケットプレイス「StockX」を2015年に創業。株式取引の仕組みをスニーカーやストリートウェアなど転売市場に持ち込み、セラーとバイヤーを繋ぐプラットフォームとして、NBAチームのクリーブランド・キャバリアーズのオーナーで実業家であるダン・ギルバート(Dan Gilbert)と共に創業。StockX以前、ルーバーはIBMでコンサルタントとして働きながら、StockXの前身となるスタートアップ「Campless」を創業。Camplessは転売市場で取引されるスニーカーの価格をトラッキングするデータ・スタートアップとなる。IBM以前は3つのスタートアップを創業。米エモリー大学でJD/MBAの学位を取得。StockXのCEOとしてこれまでルーバーはウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ESPN、デイリーショーなど世界中のメディアに取り上げられてきた。またTEDトークで世界初となるスニーカー転売市場を紹介した起業家となった。

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――StockXはここ最近で、スニーカー転売が話題になる度に必ずと言っていいほど名前が出てくるサイトのひとつになりました。今回FUZEではカルチャービジネスの最前線とお金の仕組みについての特集をしているのですが、StockXでは今どんなビジネスを進めているか、教えて頂けますか?

ジョシュ・ルーバー(以下ジョシュ):StockXは創業から4年目に入ったけど、ビジネスは順調に成長しているよ。僕たちは世界中の誰でも簡単に利用できるスニーカー販売システムを目指してStockXを始めたけど、未だにゴールからは遠いね。今やスニーカー転売はグローバルビジネスだ。円滑に取引を実現するには、国間の通貨換算のシステム化が重要だと思うよ。

――商品に対する支払いのシステムはなかなか変化できていませんからね。

ジョシュ:StockXは今年ロンドンにヨーロッパ事業の拠点を作って、先日はドイツでもローンチした。その背景にもローカルの通貨システムを理解するチームが必要で、その方が販売価格や送料、手数料を管理しやすくできるからなんだ。スニーカーの売り手は商品を早く郵送でき、支払いのサイクルも短縮できる。そして売り手と買い手の双方に、透明性の高い取引プラットフォームを提供可能になることが大きい。今後は通貨換算だけでなく、ローカル言語の対応も進めていきたい。

現代でスニーカー転売のグローバルカンパニーになるには、ローカルパートナーとの連携が必要不可欠になってくる。ひとつの市場で成功したやり方を別の国でただローカライズするのでは、とてもではないけど、成功できないからね。

――ヨーロッパには、どんなスニーカーカルチャーの動きがあるんでしょう。

ジョシュ:StockXでは今、30人ほどのチームがヨーロッパにいる。今も絶賛増員中。ニューヨークでオープンしたポップアップ専門のスペースである「StockX Drop-Off」もロンドンのソーホーにオープンさせた。ヨーロッパのスニーカーカルチャーは、ロンドンやベルリンが熱いよ。ドイツでは最近スニーカー転売が増えているからね。将来的にヨーロッパの別の場所に拠点を作りたい。物流の拠点を増やしたいと思ってるよ。

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stockX.com

――StockXのユーザーについて詳しく教えてもらえますか?

ジョシュ:StockXのユーザーの比率は、USからのバイヤーが80%で、20%は海外からのバイヤー。その多くは中国とヨーロッパから来てるね。売り手側では、USの売り手がほとんどを占める。僕たちはスニーカー転売市場の価値はグローバルで約60億ドルに成長すると見込んでいるよ。

ユーザーの大多数が、14歳〜24歳の都会に住む若者男性で、「COMPLEX」や「hypebeast」を見るのが日常的なスニーカーヘッズやストリートカルチャーのフォロワーたち。一方で、それ以上に大きな可能性があるのは、今まで転売マーケットプレイスでスニーカーを買ったことのない人たち。そこを今後は狙いたいと思ってる。彼らは今は、スニーカーショッピングに興味がない人たちかもしれない。だけど、そもそも取り扱う商品の数だけを見ても、StockXは小売店が抱えられないほどの品数がすでにそろっている巨大なマーケットプレイスなんだ。小売店で欲しいカラーが見つからなければ、StockXで探せば見つかるはずだよ。だから一般的なスニーカーバイヤー向けのPRも今後は強化していきたいね。

ほとんどの業界人はスニーカー文化から転売が無くならないと理解している

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StockX.com

――実際にスニーカー転売のマーケットプレイスを運営するにあたって、会社としてのStockXの実態はあまり伝わっていませんでした。社内の運営体制はどのようにしているのですか?

ジョシュ:StockX全体では従業員は700人を越えたよ。もしいい人がいたら、どんどん採用したい。約半数はオペレーション担当で、スニーカーが本物であることを認証するスニーカー鑑定士(Authenticator)などがいる。もう半分は新規ビジネス開発やマーケティングチームだな。

CEOとしての僕の役割は大きくふたつあって、ひとつはユーザーやメディアへのPR活動。もうひとつはブランドや企業に対しての啓蒙活動で、商品のマーケティングや販売戦略についての議論を重ねているよ。もちろんこれは時間がかかるプロセスで、大企業のマインドセットは一晩で変わらないのは十分に理解しているよ。でも、僕はブランドとこうした議論を、StockXをローンチする前から続けてきたんだ。2019年の今、スニーカーブランドの経営層からマーケターまで、スニーカーカルチャーから転売ビジネスが無くならないことは、ほとんどの人が理解していると思う。だから対策を講じることも重要なんだけど、転売市場のプラットフォームと協業する方が有益だ、と企業のマインドも徐々に変わってきている。

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stockx.com

――スニーカーが本物か偽物かを証明する認証システムは、僕らスニーカー購入者からするとフェイクを掴まされないようにするうえで非常に大切だと思うのですが、多くの転売サイトや転売プラットフォームでは認証システムは広く導入されていませんよね。

ジョシュ:僕はスニーカーの転売に限らず、あらゆるサービスは売り物が本物であることを買い手に証明しなければいけないと信じているんだ。StockXではスニーカーの認証は基準のひとつ。ただStockXは、スニーカー転売に株式取引モデルをかけ合わせたビジネスモデルが根幹にある。膨大なデータ、公平な価格設定、透明性の高いグローバル取引で構成される巨大なD2Cビジネスプラットフォームを世界中のセラーとバイヤーに提供できることが最大の強みで、認証はその一部なんだ。

僕たちは独自の鑑定プログラムをスニーカー鑑定士たちに提供しているんだ。トレーニングセッションを行うし、認証マニュアルやノウハウを提供している。また鑑定士が成長できるようキャリアパスを用意したり、メンタープログラムも提供してきた。ストリートカルチャーのなかでスニーカー鑑定士はユニークな職業だ。買い手を満足させる高いレベルでスニーカーを認証するには膨大な時間をトレーニングにコミットしなければならない。コミットメントが必要な職業だ。

他社のスニーカー転売サイトが認証するかしないかは、僕たちは気にしない。なぜなら、いずれナイキやアディダスがスニーカーにチップを埋め込んで、アプリで認証できるようになるのは時間の問題だからだ。そうなるまでは、僕たちは取り扱う製品すべてが本物か偽物かを認証していくだけ。


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StockX.com


――転売サイトのなかにはフェイクプロダクトの不正出品や不正転売で利益を上げようとする人も未だに多くいます。あなたはフェイクスニーカーの製造や不正転売の事情をどうご覧になっていますか?

ジョシュ:フェイクスニーカーの流れは止まらないだろうな。どんなに対策を練っても業者は必ず抜け道を見つけてくるからね。それにeBayやKixifyなどUSの転売プラットフォームはスニーカーの認証は行わないだろうね。今ではFacebookグループやInstagramでも転売は横行しているし。日本のヤフオクのスニーカー転売状況も情報は耳にしているよ。

スニーカー転売ビジネスが前進するには、僕たちのようにナイキやアディダスなどブランドと協力していけば、より良いソリューションを買い手に対して提供し続けることができるはずなんだ。ナイキやアディダスがスニーカー用のチップを最新商品に埋め込みはじめたら、絶対に最高だと僕は思うよ。フェイクスニーカーを減らすことができるかもしれない。

でも、そうなったとき、何がリスクかと言えば、過去数十年にわたって販売されてきたスニーカーがフェイクスニーカーの対象になっていくことは止められないだろうな。そのためにStockXは過去のスニーカーを含むすべての商品の認証を行い、情報をオープンにして取引していく。だから、完全にフェイクスニーカーを市場から排除するには相当の時間がかかると思ってるよ。

昨今のスニーカードロップで初日に商品をゲットしている人のなかにはプロの転売屋が多くいる。金を払って人を並ばせたり、買い占め用のボットプログラムを書いたり、ストアのマネージャーに裏金を渡す人もいる。これが現実なんだ。スニーカードロップに関しては、僕たちはブランドにもっと主導権を握ってほしいと強く願っているよ。

StockXのIPOと株式取引の関係性

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StockX.com

――StockXは、これまでの転売サイトや「転売ヤー」、または「フリマ」の手法とはまったくちがう新しいビジョンとアプローチで転売に取り組んでいますが、一方で転売ビジネスに対する懸念の声もありますよね。StockX独自のアプローチはどういった背景で生まれてきましたか?

ジョシュ:スニーカーの転売ビジネス、いわゆる二次流通市場の存在を懸念する声は今でも多い。ブランドやショップ、業界で働く人のなかにもそういう見方をする人は存在する。僕は彼らを否定はしない。以前、転売カルチャーや二次流通市場はとんでもなく危険で、偽物ばかりが流通していた時代があったからね。レアなスニーカーを求めて悲惨な殺人事件まで起きた。二次流通市場で高騰したスニーカーがそうした問題の背景にあったんだ。

最近の傾向では、ブランドが非常に上手いクリエイティブな購入方法を提供しはじめているよね。ナイキのSNKRSアプリが代表的だね。ブランドが購入プロセスを変えたおかげで、スニーカー販売は一次流通だけでなく二次流通も安定しはじめてきた。

僕は、多くのB2B市場の商品を参考に見てきたけど、例えば先物取引や住宅ローンの世界では一次流通と二次流通市場の関係性が非常に近い。境界線がどんどん低くなっている。これらの商品では、二次流通市場で起きた取引が一次流通市場にプラスの影響を与えることがある。株式取引や先物取引のモデルは今のスニーカー転売ビジネスのモデルとまったく同じなんだ

――スニーカー転売ビジネスを、株式市場の投資モデルに当てはめたのがStockXですね。

ジョシュ:僕たちはStockXで行うスニーカードロップや商品リリースを「IPO(イニシャル・プロダクト・オファリング、新規商品公開)」と呼んでいる。小売店や転売業者とはまったく違う方法で、スニーカー好きに購入方法を提供するD2Cプラットフォームなので、ブランドはスニーカードロップを能動的に行うことができるようになるんだ。

StockXの考えでは、スニーカー市場の未来は一次流通と二次流通市場の区別が無くなり、ひとつの大きなスニーカー市場に統合されるはずだ。統合された市場が小売価格と転売価格を同時に設定しながら売買を実現させていくように進化するだろう。株式市場ととても良く似た構造だ。

だからStockXは株式市場のモデルをベースにしている。株価には実質的な小売価格はないよね。僕たちがStockXで実現したことは、新しいコンセプトだけど、数百年の歴史のある株式市場や債権市場の仕組みをスニーカーやストリートウェアに応用しただけ。だから、StockXが投資家やユーザーから支持されるのも、このとても論理的なアプローチに則っているからだと思うよ。

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stockx.com

――StockXのプラットフォームでは、スニーカー毎にティッカーシンボルが振り分けられ、サイズ別に入札、購入ができるようになっていて、株サイトを見ているかのような数字が並びます。価格は変動制を取り入れていますが、どのように適正な価格を設定していますか?

ジョシュ適正価格は、需要と供給で決まるんだ。StockXを使えば、高校生でも経済学が理解できるはず。StockXはすべて経済と同じ仕組みで作ってきた。転売市場では、不当な価格で取引が行われないよう適正価格を保つためには、転売取引に関わるすべての人に、高い透明性の情報が提供されることが必要不可欠で、スニーカーの売り手と買い手はプラットフォーム上で同じ情報にアクセスできるようにしなければならない。

例えばeBayでスニーカーを検索すると、無数の売り手の商品ページが表示されるだろう。それを買い手はひとつずつチェックして、本物か偽物かの判断もしながら、自分が欲しい商品と価格を探し出さなければならない。このやり方は苦痛でしかない。

StockXの商品ページは、ひとつのスニーカーにつき1ページしか存在しない。そのなかで現在の転売価格や、過去の取引価格、入札価格、交渉価格まですべてが、オープンな情報として掲載されていく。情報を公平に提供することで、あらゆる人が平等に購入に参加しやすくしているからだ。

小売市場と転売市場の境界線がいずれは無くなる、それがスニーカー販売の未来

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stockx.com

――ナイキは2017年、StockXで独占的に最新スニーカー「LeBron 14 Out of Nowhere」を販売しましたよね。スニーカー業界では初めて小売店をバイパスして転売プラットフォームで直接販売した新しい取り組みでした。

ジョシュ:あれがStockXの未来でもあり、eコマースの未来だと思うよ。僕たちとブランドと協業して新製品を市場に直接リリースすることは、小売市場と転売市場の境界線が無くなるということを示唆しているんだ。もちろん、このやり方がすべての商品に適しているわけじゃない。でも、ブランドの商品の販売方法にはもっと選択肢があってもいいはずだと思う。誰が購入できるか? 販売価格は? 転売の売上をどう使うか? 例えばブランドは転売で得た利益をチャリティに寄付することもできるはずだ。

――そのような手法が選択肢に入ればブランドの販売戦略も変わりますね。

ジョシュ:それから僕たちが協力するのは、ナイキやアディダス、アンダーアーマー、プーマなど大手スニーカーブランドに限らない。先日IPOをしたのは、ヒップホップアーティストやセレブリティ御用達のジュエリー・デザイナーのベン・ボーラー(Ben Baller)がデザインしたサンダル「Ben Baller Did The Chain」だよ。大企業でもない、たったひとりのデザイナーの商品だ。

「IPOをやりたい」とベンに提案したら「OK、一緒にやろう」とStockXのコンセプトを100%信じてくれたからうれしかったよ。ベンと組むことは僕たちにとっても実験だった。ナイキやアディダスのケースとはまた異なる、スニーカー界、ストリートウェア業界では初めての取り組みだからね

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stockX.com

ベンとのIPOは結果的に大成功だった。スニーカー転売市場では世界初の試みも実現できた。このIPOの成功で、僕たちが話をしてきたブランドの経営者たちも、ようやく僕たちのコンセプトと方法論を理解してくれるようになった。2019年内にはもっとIPOを行う計画があるから、どんな結果になるか、僕らも今から楽しみなんだ。

――StockXのビジネスでは、現代のストリートカルチャーの消費者に関するビッグデータも活用していますよね。どのようにしてスニーカー転売のデータを購買に活用していますか?

ジョシュ:すごくいい質問だ。StockXはデータ会社なんだ。StockXを始める以前、僕が立ち上げた「Campless」はスニーカーの価格ガイドを提供するデータ・ドリブンなスタートアップだし、僕のキャリアはデータ分析と常に関わってきた。StockXのサービスはマーケットプレイスの提供であって、その運営で取得した膨大な取引に関するデータを管理している。

ユーザーデータの話をしてみたい。例えばナイキは、190ドルのスニーカーを購入したSNKRSアプリユーザー全員のデータを持っているはずだよね。でも、もしこのスニーカーを購入したのが転売屋だったら?そのユーザーデータの価値はどうなる? 一方で僕たちは、StockXで同じナイキのスニーカーを200ドル払って購入した熱心なスニーカーヘッズのデータを持っているんだ。ナイキが把握できないエンドユーザーのデータをStockXでは知ることができるとすれば、ユーザーデータの価値はブランドとプラットフォームで大きく変わってくるのが面白いところだろう。

別のユーザーデータの視点で見ると、ナイキはSNKRSアプリのユーザーデータしか取得できないが、僕たちはナイキのスニーカーを購入して、さらにアディダスのスニーカーを購入したユーザーのデータも持っている。僕たちがブランドと協業する利点は、商品販売の面だけでなく、データ面でも連携ができるからなんだ。

スニーカー転売市場で大きなトレンドはあまり起きにくくなってきた気がする

――ビジネスから一歩離れてスニーカーカルチャーの今をどう思いますか? 何がスニーカーカルチャーを動かす原動力になっていると思いますか?

ジョシュ:スニーカーカルチャーの今か。現代のスニーカーカルチャーは、ブランドのマーケティングから始まると思う。例えばナイキとバスケ。Air Jordanを最初に手にしたのはバスケ好きで、マイケル・ジョーダンを神話化していたNBAフォロワーだ。そこからスニーカーカルチャーが広がっていった。あとスニーカーカルチャーはファッションシーン、ストリートウェアシーンで重要なポジションを占めるようになった。この3つのシーンがひとつのマーケットで存在していることはとても素晴らしいことだと思う。

USの場合だけれど、昨今のスニーカーカルチャーやスニーカー転売市場のなかでは、大きな変化はあまり起きにくくなってきた気がする。大きなトレンドを作っているのはブランドのマーケティングの影響だからね。例えば3月にはナイキが「エアマックスデー」のコレクションをリリースした。4月はNBAプレイオフが始まる時期でもある。そこでもナイキやアディダス、アンダーアーマー、ニューバランスから新しいスニーカーが発表されるはず。小売サイクルとブランドが作るイベントが消費と転売に大きな影響を与えるように市場が変わってきた。だから転売市場や消費者側から大きなトレンドはあまり生まれていないように感じるね。今後は、ブランド主導の「スニーカー・ホリデー」化はさらに加速するだろうね。「エアマックスデー」はその一部にすぎない。

今の若者たちは、スニーカーの歴史やそこにある文化背景を知らずに買っている人は多いはずだけど、僕はそれでもいいと思っている。14歳、15歳の少年にAir Jordanの歴史やマイケル・ジョーダンの歴史を覚えさせようとしてもそれは無理なんだ。ただネットとSNSで若者たちがアクセスできる情報が劇的に変わったよ。誰が何を履いているか、どの選手が何を履いているかを知ることはリアルタイムで把握できる。スニーカーへの探究心は広がっていくと思うよ。

――StockXが次に考えている具体的な取り組みがあれば、教えてもらえますか?

ジョシュ:ひとつは販売拠点と物流センターの開設。商品の取引をより迅速に行いたいね。もうひとつはスニーカーとストリートウェア転売のグローバル展開。特にヨーロッパ、中国、日本はStockXが進出を狙っているスニーカー市場だ。ユーザーデータの活用は今後もっと注力していきたい領域だけど、今は成長速度に対応した最高のユーザー体験を提供するための事業強化が優先事項だな。

――最後の質問で今日履いているスニーカーは何ですか?

ジョシュ:履いているのは「UNION LA ☓ Air Jordan 1」。販売価格は190ドルだったはず。StockXだと1000ドルから1200ドルで販売されていると思うよ。


Photo: StockX team

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