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ビデオゲームのスキルはどこまで採用に生かせるのか? 元ホワイトハウス職員の挑戦

NEW INDUSTRY
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エディター高橋ミレイ
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最新の研究によると、履歴書は人材採用の判断材料として最良ではないことが明らかになっている(人事担当者が履歴書に目を通す時間は平均すると、せいぜい6秒程度だ)。

また、企業による人材募集の多くが広く告知されず、求職者の目に留まらないことも問題になっている。

米国では80%の仕事が公募されていない。条件の良い求人情報は、すでにトップレベルのスキルを持った人が企業から直接スカウトされるか、トップレベルのネットワークの中にいる人々の間で共有されるのみで、多くの求職者は募集情報にリーチすることすらできていない。このような状況は雇用市場を階層化し、個人と企業どちらにとっても機会損失となるだろう。

就職問題にゲームを使って解決しようと挑戦するスタートアップが現れた。それはゲーム型人材マッチング・プラットフォームを開発するScoutibleだ。ScoutibleのCEOアンジェラ・アントニーは、ハーバード大学の心理学部をトップで卒業し、法務博士号とMBAを取得した。卒業後はゴールドマンサックスやホワイトハウスのNational Economic Councilでキャリアを積み、2015年6月にサンフランシスコでScoutibleを創立した。

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Scoutibleが開発・運営する雇用プラットフォームは、休職中の応募者がプレイする約20分間のビデオゲーム内での行動から、彼らの認知能力やリスク許容度、感情的知性、フィードバックや精神処理速度に応じた資質を検証する。

これらの要素は、2002年に発表された論文によると履歴書と面接による採用試験の2倍の精度で応募者の職務能力を測ることができる(Herbert Heneman,Timothy A. Judge/2002)とのことだ。

仕組みはこうだ。企業の求人担当は、履歴書や職務経歴書ではなく、Scoutibleのゲームから解析された登録者の資質やスキル、性格をもとに、自分たちが求めている人材をスカウトする。表層的なスペックにとらわれず、スキル面や個人の資質、性格とも合致した有能な人物を採用すれば、ミスマッチによる早期離職やパフォーマンスの低下を防ぐことができるだろう。

「私たちのゴールは、企業が求めている人物と、それにふさわしいスキルを持った人物を適切に結びつけることです」とアントニーはコメントしている。

また、この採用方法は、学歴や性別といった個人の能力や資質とは関係のないバックグラウンドがキャリアアップを阻害することを防ぐ効果がある。たとえば、貧困や病気などが原因で学校を中退した人、前科者になってしまった人。このようなマイナスのキャリアを持つ人々の中にも、更生して人生を立て直そうと努力したり、ポジティブな上昇志向を持つ人はたくさんいる。

しかし、従来の採用方法では彼らがいくら努力をしても、偏見や情報格差といった壁が立ちはだかり、容易にキャリアアップできないのが現状だ。多くの人がマイナスのキャリアが作った壁にはじかれ、世代を超えた貧困のサイクルから抜け出せずにいる。これは個人と企業の間だけの問題ではない。雇用機会の不平等による貧困は福祉や安全にも悪影響を与え、地域社会や国家にも大きな損失を与えることになるからだ。

現在特許出願中のScoutibleのゲームはベータテストを公開している。参加を希望する個人のみならず、さまざまな職種でトップレベルのパフォーマンスを発揮する人物の個性やゲーム内での行動をサンプリングするために、各企業に対して協力を求めているとのことだ。