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アートユニットNONOTAKが挑む、建築、音楽、イラストの隙間の先

ARTS & SCIENCE
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エディター高橋ミレイ
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NONOTAK studio(以下NONOTAK)は、イラストレーターのNoemi Schipferと建築家でありミュージシャンであるTakami Nakamotoによるアートユニットだ。2011年、大学で出会った彼らはパリでユニットを結成した後、瞬く間にメディアアート界の新星として世界中の注目を集めた。彼らは世界各国のイベントやギャラリーに招聘され、日本でも六本木アートナイト2014やTodaysArt.JP TOKYO 2015で展示・パフォーマンスを行っている。

彼らの作風は、直線や曲線、幾何学を光で照射した空間の中で音楽をシンクロさせ、聴覚と視覚両方に訴えるというものだ。言葉で聞く分にはメディアアートとしてありふれたアプローチに思えるが、各要素が物理的にシンクロすることで得られる立体感は、明らかに従来のメディアアート作品と体験の質が異なる。

Takami Nakamotoはパリで生まれ育った日本人で、建築学を大学で学んだ。構造設計の知見を活かしたアプローチで作品制作に携わり、音とビジュアルのシンクロによって立ち現れる独自の空間を設計している。制作にあたって彼が重視しているのは、使っているテクノロジーをオーディエンスに見えないように工夫すること、ビジュアルと音がもたらすバーチャルな空間と現実との境を曖昧にすること。それによって、より深い没入感を実現できるのだ。

LATE SPECULATION MEDLEY - NONOTAK from NONOTAK STUDIO on Vimeo.

イラストレーターのNoemi Schipferは、錯視を使ったデザインを得意とし、キネクトビジュアルを担当している。NONOTAKの作品の中で、とりわけ彼女の作風が色濃く出ているのが2015年に発表された「VERSUS」であろう。

先進的なアプローチとともに未来的なイメージを想起させるNONOTAKの作品は、企業のブランドイメージ向上のために活用される機会が多い。フィンランドのNokiaはLumiaのキャンペーン時に展示を行い、グランドハイアット東京は六本木アートナイト2014と合わせて「DAYDREAM V.2」を展示した。

今年はトヨタのプリウスとVICEの「The Creators Project」によるプロジェクト「FUTURE FORWARD」に参加している。トヨタの技術協力によってNONOTAKが新作「Hoshi」を制作し、The Creators ProjectはメディアパートナーとしてYouTube動画や記事で、その舞台裏に迫るというコラボレーションだ。

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「Hoshi」が表現しているのは無限の空間。アイデアも設計図も揃っていたが、巨大な鏡を使ったインスタレーションを制作するノウハウは、彼らにはなかった。それに対し、トヨタは米国ネバタ州に持つ自社工場のエンジニアリングを提供したのだ。

このように、企業のブランドイメージのために若い人材(アーティストやエンジニア、起業家などさまざま)を起用するだけではなく、資金や技術、ライセンスなど自社の資産を提供することで新たなコンテンツやビジネスを生み出すアクセラレータープログラムは、世界的なトレンドとなっている。

完成した「Hoshi」はYouTubeの360° Videoで公開されている。彼らの制作した、光と闇が織りなす無限の空間を体験してみてほしい。