周囲の環境を検知して形が変化するスマートドレス
ARTS & SCIENCEドイツ・ベルリンで2016年7月1日から8月26日まで開催されていた、アルスエレクトロニカ「Human Factor: Endless Prototyping」の展示会に、スペイン人のアーティスト、María Castellanosと、Alberto Valverdeの作品「Environment Dress 2.0」が展示された。
このスマートドレスは、温度、気圧、騒音、粉塵といった目に見えない周囲の環境要因のレベルをセンサーで測定。汚染物質を検知したらユーザーに警告をする。たとえば、混雑した都会の道路を歩いていた際に周囲の騒音レベルが増すと、フードのように付属しているヘルメットを頭部にかぶせて閉じることができる。ユーザーはこれらのセンサーをコントロールすることも可能だ。
ドレスと連携したスマートフォンアプリは、検知した環境データを蓄積していく。さらに検出された環境の脅威に加え、ユーザーの位置情報もトラッキングして記録する。

このドレスの作者であり、「uh513」というユニット名で2009年から共に活動をしているMaría CastellanosとAlberto Valverdeは、今回の作品について、次のようにコメントしている。
日々私たちを取り囲む環境の中には、他人との関係性や気分に影響を与える多くの要因がある。だから私たちは、環境データを計測して、それらがどのくらいインパクトを与えるかがわかるスマートドレスを制作することにした。
そして最終的には、心理状態とその周囲環境の影響を明らかにして、街の「感情マップ」を作りたいとのこと。Castellanosは、「このドレスのユーザーによって蓄積されたデータを活用し、その街の安全な場所を可視化できれば、ユーザーの生活に役立つことができるでしょう」と述べている。
ユーザーの移動ルートから検出された街中の埃、紫外線、一酸化炭素といった環境データが蓄積され、その街の危険な場所、安全な場所が可視化されれば、ユーザーはもちろん、街の環境問題にも役に立つものになるだろう。ドレスがリアルタイムで環境データを分析してユーザーに警告するほか、データをもとにビジュアライズされた環境マップをウェブサイトで見ることも可能だ。
この「Environment Dress 2.0」は、オープンソースで公開しているため、誰でもオリジナルコードにアクセスしてこのドレスを制作することができる。他のアーティストやデザイナーが、このテクノロジーを彼らの製作する洋服やアクセサリーに統合してくれたら「とても嬉しく思う」と二人は語る。
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