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イーロン・マスクを称賛し続けるタイラー・ザ・クリエイター、テスラを買う

DIGITAL CULTURE
エディターJay Kogami
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ロサンゼルスのヒップホップ・コレクティブ「Odd Future」のメンバーであるタイラー・ザ・クリエイターは、思ったことを口にするMCの一人だ。いつもはユーモアたっぷりな投稿をTwitterで行う彼だが、時には挑発的で過激な発言で、誰彼なく絡んでくる。彼のターゲットになった人物は、恥ずかしい思いをするか、厳しい言葉の応酬を繰り返すはずだ。

だが、そんなタイラー・ザ・クリエイターが、Twitterで賞賛し続けている意外な人物が一人いる。それはイーロン・マスクだ。

テスラモーターズやSpaceX、SolarCityを経営し、テック時代を代表する起業家の一人のマスクを、なんとタイラーは昨年からTwitterで何度も絶賛しているのだ。

ツイートの内容は、テスラのデザインに始まり、しまいにはマスクの社会への貢献をただ絶賛するなど、すでに崇拝のレベルと言えるだろう。異なる世界の個性ある二人が繰り広げる会話には、偽りが感じらない、ピュアな尊敬の念が垣間見える。

テック業界とは違う世界に生きるタイラー・ザ・クリエイターが、こうしてイーロン・マスクを称賛し続けるのは、彼が持つ既存概念を破壊し続けるスタイルにタイラーが共感したことに他ならない。

かつてヒップホップシーンにOdd Futureが持ち込んだDIY精神は、ある意味で起業家の気質に近いと言える。MCやプロデューサー、DJらに加えて、スケーターやグラフィックアーティストなど、個性に富んだ仲間と共に、音楽からファッション、フェスティバル、メディア、スマホアプリなどを通じて、ストリートのやんちゃさ溢れた作品やプロダクトを世に送り出しつつ、野心に満ちたクリエイターたちをフォローする強いコミュニティを形成してきた。

それは、タイラー・ザ・クリエイターが制作に協力した飲料ブランド「マウンテン・デュー」のCMが、人種差別と指摘を受けた事件にも見て取れる。タイラーらのCMは、白人警官による黒人への暴力を描写していると指摘を受け、マウンテン・デュー親会社のペプシコが即時CMの削除に踏み切った。

だが、タイラーは自身の表現を変えるつもりはないと、インタビューで答えており、アメリカ社会の既存概念に屈しない姿勢は、宇宙開発産業や自動車産業、エネルギー産業を変革して、世界を変えようとするマスクと共通しているように見える。

最近のマスクへのツイートでは、ついにタイラー・ザ・クリエイターはテスラを一台オーダーしたと投稿している。するとそのツイートには、マスク本人が返信くれた。「車を買ってくれてありがとう!」。