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知られざるディープウェブのドラッグ闇市場。コーエン兄弟が描く無法地帯「Silk Road」

DIGITAL CULTURE
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ライター福田ミホ
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映画『ファーゴ』などで知られるコーエン兄弟が、麻薬オンラインブラックマーケット「Silk Road」創設者をテーマとした脚本を手がけることをHollywood Reporterなどが伝えている。配給会社はFox、タイトルは「Dark Web」とされている。

この作品の下敷きになるのは、2015年にライターのJoshuah BearmanによるWiredの記事だ。そこでは、Silk Road創設者であるロス・ウィリアムス・ウルブリヒト、別名Dread Pirate Robertsの半生と、Silk Road開設から閉鎖までの顛末、ウルブリヒトに対する捜査から裁判までが、それ自体ノンフィクション小説のような構成とディテールで描かれている。

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Silk Roadは「ダークウェブ」と呼ばれるオンラインブラックマーケットの先駆けだ。そこにはTor経由でしかアクセスできない。ユーザーはIPアドレスを隠ぺいしたまま行動ができた。さらに、決済手段をビットコインとすることで、ほぼ完全に匿名での売買が可能となり、違法なドラッグディーラーなどが自然と集まった。Wiredによれば、2011年に立ち上がったSilk Roadは、2013年10月にFBIによって閉鎖されるまでに10億ドル(約1000億円)の売上があった。その存在は早くから当局の目に留まり、追跡され、2013年のウルブリヒトの逮捕をもって閉鎖に追い込まれたのだった。

ウルブリヒトのストーリーは興味深い。ボーイスカウトから能力を持て余す青年へ、そして自由至上の理想に満ちた起業家から手下の殺害も辞さない独善主義者へと変化する。さらに、彼の恋人やおとり捜査官との関係、捜査関係者それぞれが抱える背景、FBIと他の捜査機関のおなじみの対立などが、実話とは思えないほどの重層的なドラマとなっている。

コーエン兄弟は「ファーゴ」「ノーカントリー」などで、犯罪や暴力を生々しく扱いながらもそれを見どころとするのではなく、その奥にある人間性を淡々と描き出す語り口に定評がある。「Dark Web」では脚本だけでなく監督も務めるのかどうかは不明だが、ドラマティックすぎるほどのストーリー、そしてときには技術的でわかりにくいディテールを彼らがどう組み上げていくのか、注目される。そしてもちろん、一般にはまだなじみの薄いダークウェブをハリウッドのメインストリームが題材とすること自体、特筆すべきだろう。