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「私には26個の脳がある」ドクター中松、発明で144歳まで生きると宣言

ARTS & SCIENCE
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エディター高橋ミレイ
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ドクター中松は、今年の6月26日に88歳の誕生日を迎えた。彼は末期癌と闘いながらも、発明によって病を克服し、144歳まで生きると宣言している。今彼が最も熱心に取り組んでいる発明の分野は、癌の治療と寿命を延ばす装置の開発だ。

奇人変人、発明家、あるいは政治活動家。ドクター中松は、さまざまな顔を持つ。10月19日にMOTHERBOARDは、彼のアーティストとしての側面にフォーカスした動画を公開した。

動画の冒頭でドクター中松は次のように語り始めた。

私には26個の脳がある。それらの脳のうちの1つは発明家としての脳だが、他にもさまざまな脳があるのだ。トーマス・エジソンは84年の生涯の中で1,093件の発明で特許を取ったが、私は今88歳で3,500件の特許を取った。私はまだ生きるから、この数はさらに増えるだろう。人々や世の中のために私は発明を続ける。

彼の発明品の中で最も社会に影響を与えたもののひとつがフロッピーディスクだとされている(注:彼はフロッピーディスクを発明したと明言しているが、この主張については異論もある)。また、Apple Watchが発売される12年前の2003には「ウデンワ」の発明を発表。腕にガラケーをつけただけでは? という突っ込みもありそうだが、Apple Watchと発想は同じ...である...と言える(だろうか)。

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2012年には、手の甲にスマホを装着する「スマ手」を発売。2011年に話題になった森翔太の「仕込みiPhone」に似ている気がしなくもないが、この際細かいことは放っておこう。

彼の発明や存在は、何かと面白ネタとして見られている節はある。だが少なくとも、それぞれの時代にどのような発明が世の中で受け入れられるのかを予測する、先見の明を彼が持ち続けていたことは確かである。彼自身の発明が巨大なビジネスを生み出さずとも、同じベクトルを持つ技術がイノベーションを生み出し、広く世の中で受け入れられたケースも多々あるからだ。

現在ドクター中松はニューヨークの美術館Mmuseummに招聘され、発明品と彼の私物を展示している。

同美術館は、ニューヨーク最小の美術館として知られているが、社会とやテクノロジーとのつながりを表現したラディカルな作品を積極的に展示するキュレーションが特徴だ。たとえば、「Fake American Fast Food Franchises of Iran」はマクドナルドやスターバックスといった米国資本のフランチャイズを模倣した現地のフランチャイズ「McMashallah(アラビア語でマクドナルドの神が望むもの)」の商品を展示することで、米国のグローバリズムに対する反発を描いている。「ISIS Currency」は、2014年にISISが独自の通貨を発行したことを受け、「通貨の存在が国家を正統化している」というメッセージを込めた作品だ。これは格差を広げている現在の貨幣経済システムによるアイロニーである。Mmuseummは、ドクター中松88歳の誕生日に同美術館初の「ライフタイム・ビジョナリー・アワード」を贈った

ドクター中松の誕生日パーティーには、数百人のファンが訪れた。そこでは、ドクター中松が作った「癌治療の歌」を皆が歌い、病気と闘う彼を勇気づけた。「私がまだ生きていることが、発明の効果を証明しているのかもしれない」と彼は言う(末期癌を宣告された時点の余命は2015年一杯だった)。

ドクター中松のファンたちの笑顔を見ていると、いかに彼が多くの人々から愛されているかが伝わってくる。彼の生涯をかけて作り続けた発明品のみならず、そのように生きてきたドクター中松の存在自体が不滅の芸術作品なのかもしれない。

インタビュー動画の最後にドクター中松は、こう結んだ。「どうか若い人たちも発明をして欲しい。発明こそが、より良い未来を作るのだから」。