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インターネットアートは「壁に飾る」。Electric ObjectsはGIFと宇宙をアートと認めた

NEW INDUSTRY
ライター高橋ミレイ
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アダム・フェリス」や「Pi-Slices」、「Hateplow」といったニューメディア・アーティストたちは、コーディングとGIFを駆使した、クリエイティブなアルゴリズムアート作品をナイキやグーグル、ラルフローレンのブランド向けに作る一方で、個人活動としてTumblrなどインターネット上で発表してきたことで知られている。

これまで、彼らのような先進的なネットアーティストの作品を、私たちが目にすることは、PCやスマホのディスプレイに限られてきた。

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Adam Ferris, Nustar; Pi-Slices, Planet; Pumpkin Sun, NASA. via The Creators Projects

Electric Objects」は、デジタルアーティストたちの活動を支援しながら、アートの新しい見せ方に挑むニューヨークのスタートアップだ。創業者でCEOのジェイク・レヴィン(Jake Levine)と、キュレーターのゾーイ・サルディッチ(Zoë Salditch)が2013年に立ち上げたElectric Objectsは、インターネットアートをコレクタブルに変えることで、人とアーティスト、アート作品の距離が縮めたいと考える。

そして、Electric Objectsが始めたのは、前衛的なネットアートから美術館の作品まで多岐に渡る「縦型デジタルアート」コレクションを揃えた「Art Club」だった。「Open Call」と呼ばれる厳しい選考の元で残ったアーティストたちの15,000以上のネットアート作品をコレクションしてカタログを拡大している上に、2016年には、アーティストと企業のコミッションワーク・プログラムを開始し、、約500作品がエクスクルーシブで集められている。ビョーク、アイ・ウェイウェイ、Zach GageYACHTなどがこれまでArt Clubにデジタルアート・コレクションを提供してきた。ユーザーは6カ月54ドルまたは12カ月96ドルの料金で、好きなコレクションにアクセスができる。

2016年12月、Electric Objectsは、Art Clubの最新プロジェクトとして、NASAと協力して「宇宙」をテーマにしたGIFアート・コレクション「Space is the Place」を始めた。

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image: Pi-Slices, Asteroid Belt

公開されたGIFアートは、どれもNASAが撮影した宇宙の画像とElectric Objectsと契約しているクリエイターたちによるマッシュアップ作品だ。

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デジタルアートのSpotify

Curbedでは、Electric Objectsのモデルは「デジタルアートのSpotify」と紹介されている。ムードやジャンル別にキュレーションされたアートコレクションをプレイリストとして楽しむ。さらにユニークなのは、現在作品を利用しているユーザーが他にどんな作品を利用したのかを見られること。自分と近い好みを持つユーザーの履歴を辿ればお気に入りの作品に出合えるかもしれない。コミュニティ機能を持つ、ネットアートのサブスクリプション・モデル、それがArt Clubだ。

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肝心のネットアートを楽しむ手段だが、Electric Objectsは、GIFアニメやビデオアート、写真、シネマグラフなど、インターネットで誰もが楽しむアートを自宅に飾るためのデジタルアート・フレーム「EO」を開発した。

Electric Objectsは2015年にKickstarterで製造資金を集めた「EO1」は、25,000ドルの目標額に対して、787,612ドルが2240人によって寄付されるという、大成功を収め、Electric Objectsの名を広めた。その後継機の「EO2」は、1080p HDディスプレイのミニマルなデザインで、光センサーで輝度を自動で調整し、デジタルアートとアンビエンスを楽しめるわけだ。EO2は、Art Clubから選んだ好きなプレイリストが流れる仕組みである。

Electric ObjectsはGIFアート以外にも、さまざまなネットアートをコレクションしている。もはや、日々流れてくるコンテンツの多くで、アートとそうでないものの境界線が曖昧になっていることも、インターネットアートが直面している現実かもしれない。一方で、音楽や文芸作品と違い、アートを買うことは、多くの人にとってハードルが高い。美術館にわざわざ出向くことなく、日常の中でアートに触れる機会を持つことで、インターネットのクリエイティブから豊かさを感じることができるのではないだろうか。

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