Erykah Badu、The Pharcydeらが有明をソウルフルな開放地区に。「SOUL CAMP 2026」

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Photo : 岸田哲平

昼下がりの有明に、ソウルフルな時間がゆっくりと満ちていった。

7月4日(土)、東京・SGCホール有明にて、ヒップホップ、R&B、ソウルの豪華アーティストが集結するフェスティバル「SOUL CAMP 2026」が開催された。

イベントのコンセプトとして、“真っ昼間から いいキモチ”を掲げるSOUL CAMPには、これまでにLauryn Hill、Common、Jill Scott、Nelly、DJ Premier、DJ Jazzy Jeff、De La Soul、Bobby Brown、Babyfaceなど、錚々たるアーティストが出演してきた。

約7年ぶりの復活となる今回の開催では、“ネオソウルの女王”ことErykah Baduが約10年ぶりの出演でヘッドライナーを務めたほか、2019年以来の来日となるLA出身のOGヒップホップグループ・The Pharcyde、LA発の名門インディーレーベル「Stones Throw」の看板アーティストのひとりとして知られ、現在は東京を拠点とするビートメイカー・Knxwledgeといった海外アーティストが出演。

また、国内からはDJ YANATAKEMC YOU-KID、そして唯一無二の7インチ・レコード・オンリーのプレイスタイルで知られる日本を代表するDJのひとり、DJ KOCO aka SHIMOKITAが出演した。本稿では、“ソウルフルな開放地区”となった当日の会場の模様をレポートする。

日本人アクトが作り出した、心地よい助走

まず、定刻の14時にステージに姿を現したのは、本フェスのオープニングアクトを務めたDJ YANATAKEとMC YOU-KID。当日の会場の外は、オープン時間直前まで入場待ちの大きな列ができており、この日を心待ちにしていた観客が徐々にフロアに集まりだす。

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Photo : 岸田哲平

そんな観客に対し、DJ YANATAKEは90年代〜00年代のヒップホップクラシック中心の選曲を披露。サイドMCのYOU-KIDによる「楽しんでますか?」「Let’s Go」という煽り声とともに、徐々に会場を温めていった。

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Photo : 岸田哲平

2番手として登場したDJ KOCO aka SHIMOKITAは、ステージに姿を現した直後からエンジン全開で、超絶スキルのDJプレイを披露した。

矢継ぎ早にWu-Tang Clan「C.R.E.A.M.」やJAY-Z「Empire State Of Mind ft. Alicia Keys」といったヒップホップの往年の名曲から、ダンス、ソウル、ソウルクラシックまでを縦横無尽にミックスし、会場を大いに盛り上げた。

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Photo : 岸田哲平

よく、DJは選曲で「ストーリーを描く」と言われるが、DJ KOCO aka SHIMOKITAのプレイは、そこに華麗なパフォーマンスが加わったものだ。テクニックが求められるバックスクラッチのような曲芸的な魅せ技も入れ込みつつ、観客を踊らせるグルーヴ感はしっかりキープする。そこに、DJとしての実力の高さがはっきりと表れていた。

世界を唸らせる実力は伊達じゃない。そしてDJセットのラストを締めくくったのは、小金沢昇司「ありがとう…感謝」というまさかの展開。最後までエンターテインメントに徹したスペクタクルなDJセットだった。

Knxwledgeが見せた、ビートメイカーとしての感覚

こうした日本人アクトが作った良い流れのバトンを引き継ぎ、次にステージに立ったのはKnxwledgeだ。

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Photo : 岸田哲平

DJセットの前半は、ビートメイカーらしく太いブレイクビーツを鳴らすヒップホップやD’Angelo「The Root」といったネオソウルをセンスよくミックス。さらに、シティポップ経由のグルーヴィーなネオソウルで、日本語の「美味しそう」というワードが歌詞に登場するDevin Morrisonの「OISHISO」も投下してみせた。

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Photo : 岸田哲平

一方、後半は趣向を変え、よりダンサブルなハウスへと選曲をシフト。この時間には、世界的ハウスダンサーのMIYUが客演するというサプライズも用意されていた。

DJ KOCO aka SHIMOKITAとはまた異なる、見せる要素の強いDJセットだったが、ビートメイカーらしく、ビートライブにも通じるディレイやリバーブを駆使しながらのトリッキーなプレイが印象に残った。

The Pharcydeが生んだ、観客との一体感

続いて、今回のラインナップにおける大きな目玉アクトのひとつであるThe Pharcydeが登場。

バックDJのDJ Cee BrownがプレイするHouse of Pain「Jump Around」など数曲のヒップホップクラシックの後に姿を現したFatlip、Slimkid3、Imaniの3人のMCは、ベテランらしくライブの盛り上げ方が巧みだった。

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Photo : 岸田哲平

「Ya Mama」や「Oh Shit」、「Passin’ Me By」といった代表曲でのマイクリレーに限らず、時にステージ上で踊ったり、観客をこれでもかと煽ったりと、とにかく3人が所狭しとステージ上を動き回る。

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Photo : 岸田哲平

そんなファンサービス満点のパフォーマンスに、会場は大盛り上がり。最後はステージを降りて観客と気さくに交流したり、客席を背に記念撮影したりと、最後までアーティストと観客が一体感に包まれたライブパフォーマンスだった。

Erykah Baduがもたらした、女王の時間

ここまでの4組の熱演により、会場にはすでに“いいキモチ”な空気が十分に満ちていたと思う。しかし、その気持ちを最大限まで増幅したのは、やはり大トリとして会場に降臨したErykah Baduだった。

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Photo : 岸田哲平

バンドを従えた今回のステージは、Erykah Badu自らがアナログシンセの太い音をSE的に鳴らすところからスタートした。

ライブセットの1曲目は、2000年リリースの『Mama’s Gun』収録曲「Green Eyes」。曲に合わせた緑の照明を浴びながら歌うその姿は神秘的ですらあり、ソウルフルな歌声に一気に飲み込まれた。

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Photo : 岸田哲平

また、1997年のデビューアルバム『Baduizm』から「Otherside of the Game」や「On & On」、「Appletree」といった名曲も披露された。卓越したバックバンドの演奏と重なり合うErykah Baduの歌声は、声量もさることながら、声の張りや伸びも明らかに常人のそれとは違う。

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Photo : 岸田哲平

そんなことを思いながら彼女のパフォーマンスに没入していると、途中、サンプラーを自ら叩いてフィンガードラムを演奏する時間や、この日急遽ドラマーの代演に抜擢された日本人ドラマー、Yukino Matsuuraとのセッションの時間もあった。こうした曲間のサプライズ的なパフォーマンスも、観客にとっては、この日のライブの見どころのひとつになった。

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Photo : 岸田哲平

また、ライブ終盤では、ネオソウルクラシックとして愛される代表曲「Bag Lady」も歌い上げられた。この時はErykah Baduが客席に降りて、ファンの間を歩きながら歌うという、観客にとって最高のファンサービスも実現した。

そして、流麗なピアノメロディとグルーヴィーなベースラインの上で、シルキーなErykah Baduの歌声が広がる「Didn’t Cha Know」が届けられ、ここでライブ本編が終了。深々とお辞儀をしてステージを去る姿に、得も言われぬ“女王”の気品を感じた。

しかし、女王のステージはここでは終わらない。ライブの余韻に浸る観客に向けて、「もっと欲しいか?」とMCが煽ったあと、まさかのアンコールがスタート。Erykah Baduのライブでは定番のアンコール曲「Tyrone」が披露され、会場は大きな感動に包まれた。

こう言ってしまうと陳腐な言葉に聞こえるかもしれない。それでもErykah Baduとともに過ごしたこの約90分は、最高に上質な音楽の楽しさに溢れていた。

名曲が持つタイムレスな魅力を浴びる場所

出演した5組それぞれが熱の入ったパフォーマンスを通じて、観客に“いいキモチ”になる時間を提供してくれたSOUL CAMP 2026。

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Photo : 岸田哲平

今回は音楽の楽しさに触れることに加え、改めて振り返ってみると、名曲が持つタイムレスな魅力に気づく場としても存分に機能していたと思う。

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Photo : 岸田哲平

現時点では次回の開催はまだ発表されていないが、願わくば来年も、素晴らしい音楽が最初から最後まで鳴り響く、このソウルフルな開放地区に足を踏み入れたいものだ。

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Photo : 岸田哲平