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水と魚の新しい関係を提案する美しき水槽アート

ARTS & SCIENCE
ライターmayumine
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2016年に台湾で開催された三澤遥さんの個展「waterscape 水中風景」で発表された作品は、3Dプリンティングをふくめた、さまざまなテクノロジーを用いたデザインを通じて、魚が棲む新しい環境づくりを提案している。

作者の三澤遥さんは、30代の若さで日本デザインセンターにて自身の研究室、三澤デザイン研究室の室長に就任した新進気鋭のデザイナーだ。

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20センチメートル角の水槽の中に、3Dプリンターや型抜き、吹きガラスなどを用いたオブジェを沈め、水中に棲息する生き物たちの生態環境を探索しながら具現化している。アクリルやナイロンといった、天然には存在しない素材も水中の生き物となじみ、水槽の中で共生している様が美しい。自然と人工物が彼女のデザインを通して融合している。

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三澤遥さんは、これらの作品に対して次のように述べている。

水中は、空気中とは真逆の力が発生する特殊な環境です。容器と水というシンプルな構造でできている水槽内の空間には、空気中では成り立たない非日常の世界が満ちています。「重力」とは反対の「浮力」という上向きの力が作用するからです。

たとえば砂と浮き草は、空気中ではどちらもすとんと地面に落下しますが、水中で砂はゆっくりと底へ沈み、浮き草は静かに水面へ上昇します。

また、地上では自重で壊れてしまう繊細な構造物も、重力と浮力の釣り合いによってその形状を安定して保つことができます。

浮く力と沈む力、それぞれの作用を意識的にコントロールし、水中に棲息する生き物たちの生態環境をゼロから探り直してみる。そしてそれを具体化する。それが「waterscape」プロジェクトです。

この「Waterscape 水中風景」は、台湾で2016年2月から4月の間に開催され、4,000人以上が訪れたという。