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日産と3Dペン・アーティストの邂逅が生んだ、世界最大の3D彫刻SUV

NEW INDUSTRY
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FUZE編集長Yohei Kogami
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ロンドンを拠点に活躍するグレース・デュ・プレ(Grace Du Prez)は、3Dプリンティング・ペンを操るミクストメディア・アーティストとしてクリエイティブの世界で知られている。

3Dプリンティングの技術を使って大掛かりな作品を作るには、精度が高く大規模な書き出しに適応した3Dプリンターが必要と思われがちだ。だがデュ・プレは片手で持てる3Dプリンティングペンだけを駆使した優美なディテールの表面設計、未来的な造形美、統一性のあるデザインで、実験的な作品を作り続け注目を集めてきた。

彼女が日産から依頼を受けて制作した作品を紹介しよう。3Dプリンティング・ペンのみで作った実物大の自動車だ。

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3DプリントされたSUVのサイズは長さ4.4メートル、高さ1.6メートル。デュ・プレ率いるチームが3週間に渡り制作した。制作時間は800時間に及んだ。

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デュ・プレ率いる制作チームが使ったツールは、3Doodler」のCreate3Dペンのみだ。ペン内で230°Cに熱せられたプラスチック樹脂が0.7mmのノズルから押し出され、急激に冷える過程で立体物を直感的に描くことができる。

彼女たちは、ボディから、タイヤ、窓ガラスナンバープレートに至るまで全てを3Dペンだけで文字通り"手書き"した。制作にかかったプラスチック樹脂は実に14km分だった。

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デュ・プレと日産のコラボレーション・プロジェクトは、かつては日本では「デュアリス」名義で発売していたが、現在は日産がヨーロッパで販売するミドルサイズのクロスオーバーSUV「キャシュカイ」(Qashqai)の限定ブラックエディション発売記念で実現した。

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デュ。プレはプロジェクトをこう振り返る。

3Doodlerのペンを使って数年経つけれど、今回のプロジェクトはこれまでの経験の中で最も野心的なチャレンジでした。3Dプリンティング技術がどれほど進化してどんな人でも使えることを証明してくれました

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大規模な3Dプリンティングで作品を作ることを、高額で高性能な3Dプリンターなど一部の人間しか入手出来ないツールに頼らずとも実現できることをデュ・プレは証明させてくれる。エンジニア中心のモノづくりの世界と、芸術家中心のアートの世界。長い歴史を誇る二つの世界を3Dプリンティングのアイデアが、作品を見る僕たちが持つ固定概念を覆し、新たな魅力を引き出してくれる。

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ロイヤル・カレッジ・オブ・アート出身のデュ・プレは、動物の皮や髪の毛、金属、プラスチックなどを使った実験的な繊維アート作品をこれまでに作り上げてきた。

彼女の最も有名な作品は、イギリス王室主催の伝統ある競馬レース「ロイヤルアスコット」向けに3Doodlerで制作した「ピーコックハット」(孔雀の帽子)かもしれない。カラフルでゴージャスな装飾が際立つこの帽子の制作には60時間、1週間かかったそうだ。もちろん、制作は3Doodlerの3Dペンが使われた。