オープンリールデッキを改造して楽曲を奏でる「Open Reel Ensemble」。その主催者の和田 永は、古家電を楽器へと進化させるプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」も率いている。
『黒電話リズムマシン』、『ブラウン管ガムラン』、『ボーダーシャツァイザー』(ボーダーシャツ ビデオカメラのシンセサイザー)など、音楽家兼美術家の和田 永ならではのセンスが生きている作品群のなかに、換気扇とOHP(オーバーヘッドプロジェクター)、DJミキサーを組み合わせた『換気扇サイザー』(Kankisenthizer)がある。

image by Ei Wada
OHPが発した光を換気扇に通し、ブレードの回転数によって変わる明滅をソーラーパネルが受け取る。ノイズゲートを通じて音に変換し、DJミキサーにインプット。そして放たれるのはスペーシーサウンドの叫びだ。これはもしかして、古家電の声なのか。歌なのか。
オーストリアのリンツで開催された「Ars Electronica Festival 2016」(アルス・エレクトロニカ・フェスティバル)で、この『換気扇サイザー』を使った彼のライブパフォーマンスが行なわれた。
「換気扇は近所の人にもらいました」と語った和田さん。パフォーマンス後の拍手が鳴り止まなかった。 video: Makoto Saito
アナログな構造からうまれるファジーなトーン。そこに最新のアーキテクチャはない。しかし、その叫びに僕らの耳は囚われる。
新たな音楽は、新たな楽器の発明と共に生まれてきた。
彼の編み出す歌う家電を、新しい楽器と位置づけていいのかどうかはまだわからない。しかし、Hi-Fiこそがすべてではないというメッセージは強く、感じ取れる。
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