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シンセ開発の父、ドン・ブックラ。あなたの音、いつまでも忘れない

ARTS & SCIENCE
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フリーライター武者良太
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シンセサイザーの歴史は19世紀末よりはじまったが、近代の電子楽器における父といえる存在は、モーグ・シンセサイザー開発のMoog Musicを率いたロバート・モーグ(Robert Moog)。そしてBuchla & Associatesを率いたドン・ブックラ(Don Buchla)が挙げられる。

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ドン・ブックラ via Flickr

そのブックラが亡くなった。79歳だった。冥福を祈りたい。

1963年に初代のModular Electronic Music SystemことBuchla 100をリリース。ロックフェラー財団より資金援助を受けていた彼は常に、エンジニア兼アーティストとして新たなシンセサイザーの開発に勤しんでいたように思える。大量生産を可能とする大ブランド化は目指さず、必要な声に応じて必要な数だけ生産する"工房"的なスタイルをとっていた。

代表的なモデルを見て(聴いて)いこう。シーケンサー機能やタッチパネル型の鍵盤機能が持たされていたBuchla 100。当時のシンセサイザーとしては画期的だった。

初期のBuchlaで最も有名なBuchla 200(1970)。

アップデート版のBuchla 200eは、ヤン富田、坂本龍一といった名高いアーティストが愛用している。

Buchla Music Easel(1973)は現在も製造が行われている名機。2013年には意匠を受け継いだElectric Music Boxがリリースされた。

アナログシンセサイザーの音といっても様々だ。Moogやファミコン、ゲームボーイのような1音1音が太く、存在感の高い矩形波を用いたトーンばかりと思われがちだが、ドン・ブックラの音は違う。彼は、時に複雑怪奇な波形を作り出す周波数変調を好んでいたシンセサイザーアーティストだ。あえてリアリティを狙わない、電子楽器としての、楽器の新たな可能性に光を見いだしていた人物だ。

音楽創作は自由だ。その可能性を追求してきたドン・ブックラ。僕達はいつまでも、あなたの音を忘れない。