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炎上した「切り裂きセルフィースティック」は嘘だった。その裏に隠されたメッセージ

DIGITAL CULTURE
ライターmayumine
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ニューヨークの街で自撮り棒を使ってセルフィーをしている人たち。そこに突然、自撮り棒を真っ二つに植木ばさみで切っていく男が現れる。

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当然、被害に遭った人々は、叫んだり怒ったり、追っかけたりする...この衝撃的な動画を見たことがあるだろうか。

9月1日にYouTubeに投稿されてから、再生回数は140万回(10月6日時点)を超え、コメント欄には3,000を超えるさまざまな意見が交わされている。

でもこの動画はフェイクだった。なぜ「切り裂きセルフィースティック」は生まれたのだろうか?

「自分を見て! 見て、見て見て!」

この動画を投稿したのはコメディアンでプロデューサーのバディ・ボルトン(Buddy Bolton)。

彼が地元のMiami New Timesに語ったところによれば、友人のコメディアンが切り裂き男役で、自身はカメラマン、動画に出てくる被害者の人々もすべてシナリオ通りだった。ちなみに自撮り棒を切られて落ちたのはスマートフォンではなく空のスマートフォンケース

バイラルを狙って動画を投稿したそうだが、反響は「信じられない」ほどだったと言う。

動画を見て真に受けた人々が思っていた以上に、僕らに怒ったんだ。脅迫めいたメッセージを送る人もいた。

セルフィースティックが大好きな人が世の中にはたくさんいる。自分をセレブのように見せたい人々がたくさんいるんだ。

だったら、動画の最後に「これはフェイクでした」と入れておけば良かったんじゃないかと思わなくもないが、そうしたらここまでのバズは生まれなかったかもしれない。

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これだけ炎上し動画をバズらせたバディ・ボルトンだが、動画による広告収入などは一切発生させていないという。「スマートフォンの外の世界をもっと見てほしい」というメッセージを伝えることがこの動画の目的だったからだ。

彼は言う。

セルフィースティックとセルフィーを撮る人々は自分の世界の中にだけいる。

自分を見て! 見て、見て見て!

僕はその行為をストップさせるためにカットした。スマートフォンの向こうにある外の世界を見渡してほしい。自分自身だけではなく、自分の周りにも注意を向けてほしいと思ったんだ。