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4 デジタルとフィジカルを超える

ついに始まった、ファッション ☓ 3Dテクノロジーの掛け算

IDEAS LAB
ライターmayumine
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Kinematics Dress』は、100=プリンターで作られたワンピース。YouFab 2015でグランプリに輝いた作品だ。

ドレス自体は、シースルー調の繊細で軽やかなフォルムに仕上がっている。だがその最大の特徴は、大小の三角形パーツ数千個が、蝶つがいの仕組みでつながれたまま3Dプリントされている作り方だ。

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制作したのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)出身の男女ユニットが立ち上げたデザインスタジオNervous System。有機的なパターンのパーツは完璧に体にフィットし、動きによって生み出される美しいシルエットが魅力的だ。着る人の体を3Dスキャンしてモデリングしてその人ごとにぴったりなサイズでの制作を、3Dプリントの技術を駆使して正確に行っている。

何千ものパーツが1枚に畳まれた状態で3Dプリンターでプリントされるため、縫い合わせる必要がない。また、プリンターの出力サイズを超えたドレスも出力できるという発想も優れている。3Dプリントされた個々のパーツは固いが、服全体は体の動きに沿い、滑らかな生地をまとうような着心地を実現している。さらに、これまでの布地とは異なり、堅さ、ドレープ、柔軟性、多孔性、パターンを様々に変化させられるのも特徴である。

kinematics dress

Nervous Systemはドレス用の特別アプリ『Kinematics Cloth』も開発した。これを使うと、ドレスのサイズやスタイル、柔軟性や模様もカスタマイズできる。

彼らは、同作品の紹介映像でこう語る。

このアイデアはまずブレスレットづくりから始まり、ドレスへと発展しました。個々の構成パーツは固いものだけど(ナイロンのレーザー粉末焼結による)、組み合わせ方の工夫で身体にフィットし、動きやすい衣服ができました。私たちは、デザインやものづくりに工学・科学技術を組み合わせることに挑戦しているんです

この作品は、デザイン、シミュレーション、デジタルファブリケーションを組み合わせることで、複雑でカスタマイズ可能なものを作る、という新しいものづくりの形を示している。従来2次元で考えられていた洋服のデザインと制作作業を根本的に変えたことで、今後のアパレル業界に革命をもたらすかもしれない。

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note:「YouFab Global Creative Awards 2016」はロフトワークがスポンサーをつとめており、本ライターはロフトワークの所属です。

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