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「Shoppableビデオ」が生み出すファッションとエンタメの新しい関係

NEW INDUSTRY
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エディター高橋ミレイ
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ミュージックビデオやドラマを動画サービスで視聴しているとき、「この服や小物すてきだな、どこのメーカーのだろう?」と気になることがある。せめてどこのブランドのものかがわかれば、その場で検索して調べることもできるのだが、たいていの場合はわからずじまいだ。

これは二重の意味で機会損失である。視聴者は自分が気に入ったものの情報を知る機会を逃し、動画に登場する服やインテリア、小物を作るメーカーは、自社の製品やブランドのファンを増やし販売につなげる機会を逃してしまう。

この課題を解決するサービスを提供しているのがWIREWAXだ。同社が目指しているのは自社のテクノロジーによって「Shoppableビデオ」を普及させること。その中にはVRコンテンツやゲームもふくまれている。

WIREWAXが開発したのは、動画の特定の物や人物にタグをつけてトラッキングする機能だ。動画を再生し、画面の中で移動したり角度を変えても、タグをつけた対象が同じものであると認識できる。画面内でポインターをタグに当てれば、そこから購入ページに直接飛ぶこともできるのだ。

ファッション業界を中心とした小売業界は、この機能によって新しいECの形を定着させられるのではないかと注目している。WIREWAXは、すでに500以上の企業やブランドと仕事をしており、その中にはYOOXFarfetchといった大手ECサイトや、UNDER ARMOURやTed Bakerなどのブランドもふくまれている。

たとえばテッドベイカーでの事例がこちら。

最近のファッションECサイトは、写真を拡大したり、モデルが着ている姿をシミュレーションする機能がついているが、着ている人が動いている姿までは見ることができない。ファッションに高い関心を持つ顧客は、その服を街中で着て歩いている姿や角度を変て見たときに、どのようなイメージになるかを知りたがっている。

WIREWAXのShoppableコンテンツは、そのような顧客の欲求を満たしながら、動画や音楽といったコンテンツを活用することでブランドの世界観や魅力を伝えることに成功した。高いエンゲージメント率を誇り、テッドベーカーの動画では数十万ドル規模の収益を上げている。カナダではミュージックビデオをShoppableにした際にも、数日間で10万ドル(約1000万円)以上の売り上げを達成した。

Shoppableコンテンツが普及することで、ファッションと音楽、映画やドラマといったエンターテイメント産業との付き合い方が大きく変わる可能性がある。たとえば、Shoppableコンテンツにした映画のトレイラーやメイキング動画、ミュージックビデオを配信することで、プロダクトプレイスメント(作品の中にスポンサーの商品を露出させること)だけではない、新しい広告の形が可能になる。音楽や映画といったエンターテイメント産業は新しいマネタイズの手段を得られ、ファッション産業は動画を通して自社製品を広い顧客に届けることができるようになる。

WIREWAXはVRや360°動画にも対応している。UNDER ARMOURは今年のNYファッションウィークのランウェイの様子を360°動画にして公開。もちろん、タグのついたアイテムはその場で購入できる。

WIREWAXのCEOのスティーブ・カラナンは、今後の展望について「実写の動画だけではなく、ゲームなどバーチャルな世界でのプロモーションにもShoppableコンテンツを活用しようと考えている」とコメントしている。あらゆるエンターテインメントと日常が、買い物を通してシームレスになる日が近づいているのかもしれない。