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帰ってきたジョン・マカフィー。政治から一転、ビットコインにハマっていく

NEW INDUSTRY
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ライター福田ミホ
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セキュリティソフトウェアの草分けであるマカフィー・アソシエイツ創業者のジョン・マカフィー。彼は1994年に同社CEO退任後も複数の事業を立ち上げる一方、麻薬の一種であるMDVP(バスソルト)を愛用し、2012年には殺人容疑で逮捕されるなど、特異な行動と過激な言動で物議を醸してきた。2016年には、米政治批判を繰り返し、リバタリアン党からアメリカ大統領選挙に立候補し、予備選挙で敗退している。

マカフィーはテック熱に冷めたのか、不動産投資や、ヨガにのめり込むなど活動範囲を広げていた。しかし、2012年の逮捕・米国への送還騒動以降、再びセキュリティ関連の動きが目立ってきた。2013年にはセキュリティ/プライバシー関連ソリューションを提供するFuture Tense Centralを立ち上げ、モバイルアプリ「D-Central 1」を発表している。また、2016年にテロリストの所持品だったiPhoneの内容を解読するようFBIがアップルに迫っていた際には、マカフィーが代わって解読すると名乗りをあげ、セキュリティ専門家としての存在感を世に示した。

そのマカフィーが、昨今注目が集まるビットコイン、そしてブロックチェーンの波に乗ろうとしているようだ。2016年5月、それまでゲームデベロッパーだったMGT Capital Investments(以下MGT)がマカフィーを会長兼CEOとし、またセキュリティ企業D-Vasiveから一部技術を買収することを発表した。MGTはその後次々とセキュリティ関連技術の買収や人材登用を進め、「ジョン・マカフィー」の看板を掲げたセキュリティ企業へと衣替えしていった。

2016年12月時点で、MGTはビットコインのマイニングセキュリティ/プライバシー関連ソフトウェア・ハードウェア開発を主な事業として手がけている。ビットコインマイニングにおいては、後発ながらすでに月10万ドル(約1200万円)程度の売上を達成し、米国のビットコインマイナーの中で上位に入っていることを発表した。さらに、「世界で最も電力消費効率が高いビットコイン・マイナー」を謳う、中国の大手ビットコインマイニングプール運営者であるBITMAINと共同のマイニングプールを作ることにも合意したという。

またMGTが買収により事業取得した「Demonsaw」は匿名でのデータ共有を可能にするソフトウェアだが、これについてもマカフィーは「(単なるソフトウェアではなく)インターネットがこうあるべきであったアーキテクチャだ」「クラウドを時代遅れにする」などと意気込みを見せている。

MGTには他に、ハッキングを検知するハードウエア「Sentinel」や、Android上でアプリがアクセスできるハードウエアを管理するツール「D-Vasive」といったプロダクトがあるが、今後も積極的な買収で技術を拡張していくという。

さらに2016年11月には、ブロックチェーンを使った株式取引プラットフォームを開発するEquibit Development Corporationのセキュリティアドバイザー委員会のシニアアドバイザーにマカフィーが就任したことが発表されている。またロンドンで行われたBlockchain Money Conferenceで基調講演を行うなど、パブリシティ活動も精力的である。このカンファレンスの場でマカフィーは、このように発言している。

私がなぜビットコインに関わっているかって? それは世界のスタンダードになるからだ。ビットコインでなければ、オルト・コイン(Altcoins)だ。

ジョン・マカフィー

image via Flickr

しばしテクノロジーへの興味を失ったようにも見えたマカフィーだったが、ビットコイン、そしてブロックチェーンによって、世界を変える技術を生み出す意欲を取り戻したのだろうか。

ブロックチェーンがもたらすと期待される強固なプライバシーは、彼自身が個人的に求め続けてきたものでもある。アンチウイルスという新しい考え方を生み出し、世に定着させたマカフィーが、ブロックチェーン技術においても新たな世界観を創造できるのか、注目される。