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来るべき「AI時代」へ、DJたちが動き出したーー『欲望する機械(マシン・デジラント)』 開催

ARTS & SCIENCE
エディターJay Kogami
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AIをDJと認められるのか。

日本とフランスから機械やデジタルテクノロジーとアートの関係を探るクリエイターたちが集結したメディアアートイベント「DIGITAL CHOC 2017」。近代アートとテクノロジー社会の中間点から新しい文化を探るこの実験的なアートイベントの中で、人間とロボット・ミュージシャンがコラボレートするライブ・パフォーマンス・イベント『欲望する機械(マシン・デジラント)』が開催される。

会場となる渋谷WWWでは、日本、フランス、ドイツから、テクノロジーと音楽的ビジョンを組み合わせ、アートや建築、ロボットなどさまざまな世界で表現活動を行なう先進性あるアーティストが集まる。日本からは、メディアアーティストであるRhizomatiks Research真鍋大度と共に、国内でゲリラ的な人工知能DJイベント「2045」を共同主催してきたQosmo徳井直生が、人間のDJと人工知能DJがバック・トゥ・バックでコラボする最新プロジェクト「Artificial Intelligence DJ and Human DJ Back to Back」を披露する。

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Photo: Mao Yamamoto

巷でバズワード化している人工知能をオーディオビジュアルのトリガーとして見なすのではなく、人間とAIの「かけあい」による共同作業をテーマに、AIが別のロジックを持つもう一人のアーティストとして役割を与え、本物のレコードとターンテーブルを物理的に制御し、バック・トゥ・バックでオープンマインドなサウンドを鳴らすことから新しい表現の可能性を広げる最新のAI音楽プロジェクトがそれだ。AIの選曲に直感で答える人。また人のアンサーにロジックで答えるAI。DJを通じて科学反応を起こした両者(ここではAIをあえて人と仮定する)が、まるで表現の可能性の探り合うかのように、予測不可能な表現方法をクリエイティブの世界から見出そうとしている。

AIと人間が互いに選曲する曲から生まれる必然性やズレ、エラーを聴き手が感じ取り共振できるか、「人間の感度」に直接問いかけるこのAI音楽体験が現代アートをテーマにしたイベントで開催されるのは、「AI時代のアート文化」の中で、AIを表現のメインプレーヤーとする技術革新から、アルゴリズムと人の感覚に生まれる相互関係性の追求にアーティストたちの注目が移り始めていることに他ならない。

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© David Letellier

イベントでは、Qosmo AI DJ Nao Tokuiを、フランス人アーティストのダヴィッド・ルテリエ(David Letellier)、ドイツのコンテンポラリーアーティスト、モーリッツ=サイモン・ガイスト(Moritz Simon Geist)が迎え撃つ。

特に、ルテリエがカンディング・レイ(Kangding Ray)名義で作品をリリースするドイツの電子音響レーベル「ラスター・ノートン」は、坂本龍一Ryoji IkedaAoki TakamasaRyokoなどの現代音楽・電子音楽家たちの作品をリリースしているので覚えがある方も多いだろう。

「欲望する機械と人工知能」をテーマに掲げる今年のデジタル・ショックは、フランスと日本のメディアアートと現代アートをテクノロジー社会の視点から解釈したプロジェクトがアートパフォーマンスや展示として都内各所で3月20日まで紹介していく。

タイトル:ライブ・パフォーマンス「欲望する機械(マシン・デジラント)」(第6回「デジタル・ショック」内開催)

日時:2017年2月17日(金) 19時開場/19時30分開演/22時30分終演(予定)
会場:渋谷WWW
料金:一般3,500円、前売り・学生・会員3,000円(ドリンク別)
出演:Qosmo AI DJ Nao Tokui (Back to Back set) / Visualization : Shoya Dozono,Sonic Robots (Moritz Simon Geist), David Letellier (a.k.a Kangding Ray) / VJ : Akita Yoshiko, Albino Sound (DJ)
主催:アンスティチュ・フランセ東京
共催:東京ドイツ文化センター
助成:フランス・ドイツ文化基金
協力:株式会社Qosmo
チケット取り扱い:Peatix
お問い合わせ:アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
webサイト:詳細