MAIL MAGAZINE

下記からメールアドレスを登録すると、FUZEが配信する最新情報が載ったメールマガジンを受け取ることができます。


真の「シェアエコノミー」を探せ! バイク+ブロックチェーンに見る、本当にシェアされるべきもの

IDEAS LAB
/uploads/profile_fukudamiho.jpg
ライター福田ミホ
  • はてなブックマーク

UberやAirbnbといったミレニアル世代のシリコンバレー・スタートアップは、ドライバーや自家用車、アパートメントや別荘などの個人のリソースを束ね、別の個人のニーズとマッチングさせる仕組みである。「シェアエコノミー」とも呼ばれるサービスたちは、今までの世界には存在しない経済活動形態だと評価され、拡大してきた。

だが実際「シェアエコノミー」サービスが一般に普及するにつれて、実社会の中ではいくつかの問題が顕在化している。そのひとつは、UberやAirbnbの運営母体が巨大な資金と影響力を集めている一方で、末端で働くドライバーや宿泊施設提供者にその恩恵が届かない、価値の乖離だ。未上場ながら高い企業価値を生み出す「ユニコーン企業」と呼ばれるUberでは、ドライバーが待遇改善を要求する抗議活動をたびたび起こしており、「シェアエコノミーを謳いながら、何もシェアされていない」という指摘が相次いでいる。

UberやAirbnbの問題は、彼らが個人同士を仲介するハブとしての役割を果たすことで、権力が集中してしまうことにある。営利企業である彼らの存在目的が利益の創出である以上、それはUberにおいてはドライバーや乗客、Airbnbにおいては宿泊設備提供者や宿泊客の理念や価値創造と相反してしまう。

だがUberやAirbnbなど「シェアエコノミー」サービスを成立させるために必要な利用者とサービス提供者による個人間の信頼構築は、必ずしも中央管理型の仲介者が存在しなくても可能である。技術的にブロックチェーンを使うことで、サービスを開かれた分散管理に変えることができ、中央集権的な組織が不要になる。

その先進的なサービスをすでに実践している国はアフリカである。ブロックチェーンを使った配車サービスがケニアで立ち上がっているのだ。バイクタクシーの「ボダボダ」(Boda Boda)を組織しアプリから呼び出し可能にした「Twende」は、現在ケニアの首都・ナイロビで、ライダー15人を集めてテスト運用を進めている。

このバイクタクシーアプリTwendeはブロックチェーンを使うことで、ライダーとの間でUberとドライバーのあり方とはまったく違う関係を築いている。共同創業者のピーター・ブキマ(Pieter Buikema)は、メールで以下のように語っている。

ブロックチェーンを使うことで、ライダーと顧客両方に対してフェアな企業を作る可能性が開かれます。DAO(Decentralized Autonomous Organizario、分散自律組織)のセットアップによって、ライダーは単にTwendeプラットフォーム上で仕事ができるだけでなく、株主になることもできるのです。また投票の仕組みを使うことで、ドライバーも価格アルゴリズムなどのマネジメント的判断に対して影響力を持つこともできます。スマートコントラクトの仕組みを使うことで、利益の一部をドライバーと簡単に共有でき、ブロックチェーン上でチェックもできます。

つまりUberドライバーがあくまでUberに雇われた上下関係あるスタッフであるのに対し、Twendeのライダーはサービス運営主体の一部になれるということだ。そしてブキマももうひとりの創業者、ティム・ドスト(Tim Dost)もTwendeの事業から利益を得ようと考えていないので、営利目的の企業が仲介するサービスよりライダーの取り分を多く、またはユーザーの支払う金額を少なくすることができる。つまりUberなどタクシーサービスで問題視される中央権力と雇用者の対立関係とは違い、市場で生まれた価値を仲介者以外の市場参加者がシェアし合うモデルが生まれるのだ。

Related Articles by FUZE
ブロックチェーンは、ありふれた制度の中の「不確実性」を無くせるのだろうか?

ブキマによれば、交通インフラが貧弱なまま都市化が進んだナイロビでは4輪車のタクシーより2輪車のボダボダが移動に適している。またケニアではバイクが単なる移動手段ではなく、収入源のひとつでもある。Twende以前からライダーは小さな起業家でもあった。Twende創業者たちはマイクロ起業家でもあるライダーたちを支援することが自分たちの使命だと考えている。ブキマはメールでこう語っている。

私たちはマイクロ起業家の生活をより良くし、この分野にポジティブな変化を与え、安全や信頼性をもたらしたいのです。私たちにはこのように明確な社会的目標があります。

Twendeはまだナイロビで小規模なテスト中だが、2017年中にはライダーを400人にまで拡大し、将来的に近隣国にも進出したいという。

Twendeに限らずブロックチェーンの仕組みが新興国で普及すれば、貧富の差も縮小できるかもしれない。バイクライダーのような参加するハードルが低い仕事であっても高い収入が得られ、さらに株主として自分の努力に応じた報酬を夢見ることもできるからだ。ブキマのような起業家のアイデアと、ブロックチェーンの技術革新が、「シェアエコノミー」に携わる世界中の人々が自らの力でより良い生活を手に入れるための起爆剤になることを期待したい。