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「ポスト・シェアリングエコノミー」の本質ーーブロックチェーンが企業から主導権を剥奪するか

DIGITAL CULTURE
ライター福田ミホ
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UberやLyft、そしてAirbnbは、2000年代後半に誕生したミレニアル世代のシリコンバレー・スタートアップの中でも、過去数年で飛躍的に成長し、売上と豊富な資金を集めてきた。これらのサービスは包括して「シェアリングエコノミー」との呼び名が定着し始めている。人がモノを所有するのではなく必要なときに借りる、余剰のリソースは貸し出すという新たな経済活動形態を生み出した原型として、「シェアリングエコノミー」は脚光を浴びている。

だが一方でUberやAirbnbなどのサービスはさまざまな批判も受けてきた。特に海外メディアでは、AirbnbやUberでのホラーストーリーが数多く取り上げられ、たとえばThe Guardianでは、Airbnbのサービスが極めて「ホテル的」でありながら、定期的な安全点検を怠り宿泊環境が保証されない問題や、宿泊税を納めていない問題を批判している。

Uberはドライバーに対し実際より高い収入が可能であるかのように錯覚させたとして、FTC(米国連邦取引委員会)に対し2000万ドル(約23億円)の和解金を支払うよう命令が下った。さらに最近では同社CEOのトラビス・カラニックが、運賃値下げに不満を訴えるドライバーを「自分の行動に責任を取らない人間がいる」と一蹴する場面の動画が暴露され、企業としての姿勢が問われている。

さらにこれらのサービスは「シェアリングエコノミー」と言われながら、実態としては何もシェアしていない、という指摘が相次いでいる。ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイのジアナ・M・エックハルト(Giana M. Eckhardt)らはHarvard Business Reviewで、「シェアとは、知り合い同士の間で、利益なしで行われる社会的交換の形態である」とし、営利企業が仲介している時点でUberやAirbnbは真の「シェアリングエコノミー」ではないとしている。コンサルタントのオリビエ・ブランシャール(Olivie Blanchard)も、「シェアリングエコノミー」でなく「レンタルエコノミー」であるとし、運営企業だけが潤って社会の格差を広げる不健全な仕組みだと主張する

ブロックチェーンが真のシェアリングエコノミーを作る

これらの批判に答えはあるのだろうか?Bitcoin Magazineによれば、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのブロックチェーン・テクノロジーセンター所長パオロ・タスカ(Paolo Tasca)と、The Impact Instituteのミハエラ・ウリエル(Mihaela Ulieru)は、Uberなどに代わって真のシェアリングエコノミーを実現しうるのがブロックチェーンだと主張している。彼らはブロックチェーンを使って非中央集権的に共同運営されるシェアリングエコノミーこそが今後の経済の基盤になるとし、それによって収入格差が解消され、経済がより民主化されていくという希望を描いている。

我々がUberに乗る理由のひとつは、「Uberに登録しているドライバーなら安全だろう」というサービスへの信頼があると思われてきた。だが仮に、通りすがりのタクシードライバーが安全な人物であることが確実にわかる仕組みがあるとしたらどうだろう。ブロックチェーンを使えば、Uberのように中央集権型のシステムを構築しなくても仲介者のないシステムでもPeer-to-peer(P2P)で個人の身元を確認でき、ユーザーは見知らぬドライバーが安全かどうかを確認できる。

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仲介者が不要であるということは、そこで利益が抜き取られる必要もなく、その分ユーザーは安価にサービスを利用でき、ドライバーや宿泊設備提供者の収入が増えることが期待できる。Let's Talk Paymentsも次のように主張している。

ブロックチェーン技術のもっとも重要な特徴のひとつ、中央の権力と仲介者の排除は、真のシェアリングエコノミー、またはシェアリングエコノミー2.0の屋台骨となりうる。現状のモデルでは、すべての「シェアリングエコノミー」サービスには中央の権力がある。一方ブロックチェーン技術の上に構築され、運営されている同様のサービスでは、需要と供給をもっとも効率良い方法で直接つないでいる。

シェアリングエコノミー内における新基準

そして実際、ブロックチェーンを基盤とし、脱中央集権的に運営される使ったシェアリングサービスも立ち上がりつつある。Arcade Cityと、そこから分化したSwarm Cityは、ともにブロックチェーン技術である仮想通貨イーサリアムを組み込んだP2Pのライドシェアサービスだ。

AustinInnoによれば、Arcade Cityは元々ドライバーと乗客をマッチングするためのFacebookページとして立ち上がったものだった。乗客が乗車地と目的地をポストすると、それを見たドライバーがコメントで応じ、運賃を交渉して合意できれば乗客の元へ向かう。

創業者のクリストファー・デービッド(Christopher David)は元Uberドライバーだった。UberやLyftのアキレス腱は「ドライバーが稼ぐ金額について意見を言えないこと」だと考えたため、Arcade Cityではドライバーが運賃をコントロールできる仕組みにしたのだと言う。彼らはテキサス州オースティンやミッドランドなど、主にUberやLyftが撤退した地域でFacebookページを開いているが、最近ではグローバルに使えることを目指した独自アプリも立ち上がっている(ただし筆者のテストやFacebookのコメントによると、アプリはうまく機能していない)。

Swarm CityもArcade City同様に各地でFacebookページを開いており、ドライバーと乗客を直接結びつけている。さらにSwarm Cityではライドシェアだけではなくさまざまな価値をシェアリングできるプラットフォームを目指しており、現在その基盤を段階的にリリースしている。

ただユーザーにとってブロックチェーンを使ったシェアリングサービスがUberやAirbnbより魅力的に映るかどうかは、現在のところ未知数である。

我々がUberを使う理由は多くの場合、単に「従来のタクシーより早くて安いから」であり、それを超えるにはUberより安いか、早いか、その両方が求められるからだ。単に仲介者がいるかいないか、それが「シェアであるか」どうかという仕組みの違いで実現できる特性ではないと考えられる。

さらに、もし仲介者が大した働きをしていなかったと見えても、ユーザーにとって仲介者の存在そのものは「何かあったときに責任を問う相手がいる」という意味での安心感につながる。仲介者の不在というブロックチェーンの特長が、サービス化したときには短所にもなりうるのだ。

そのような条件下に関わらず、ビジネスの対価がその提供者・利用者に公平に分配される「真のシェアリングエコノミー」は、少なくともUberを訴えたドライバーたちにとっては魅力的なコンセプトであろう。ドライバーや宿泊設備提供者がいなければ、UberやAirbnbは成立しない。ブロックチェーンを核としたシェアリングエコノミーは、旧式のシェアリングエコノミーの潜在的脅威となり、その牙城を切り崩しつつあるのだ。

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