情報の安全圏から逸脱した記事の読み方や議論の方法を試みる人が、何の記事をどう読んでいるか、知りたい。そんな疑問からこの企画が生まれた。
自らの価値観で情報を掘り下げ記事と向き合ってきた編集やライティングのプロたちに、"改めて読みたい"ウェブの記事を聞くという連載企画だ。基準は、PVでもシェア数でも"バズ"でもない。ただ自分の基準で面白いと思い、記事を読む行為を有意義な時間と感じるかどうか、それだけをお願いして選んで頂いた。
世間の評価やメディアの構造よりも、読み手の"テイスト"だ。お気に入りやブックマーク、クリック、プッシュで消費される情報消費社会において、記事と自ら向き合おうとする彼らの行為は、あらためてウェブの可能性を提示しているようだ。
ABBA/Arrival|Simon Goddard - Pitchfolk
PitchforkのSunday Reviewは、過去の名作をいまの視点から聴きほぐす名物コーナー。取りあげられるのは10点満点級の名作ばかりだが、なるほどそうやって聴くもんなのか、といまさら教えられること多々。ABBAの名作「Arrival」を取りあげたこのレビューでは、ABBAの北欧性とそのメランコリアに焦点を当て、それがいかにアングロサクソンの耳に異教的に響くかを綴る。誤読されたポップスとしてのABBA。なるほどなあ。あらためてじっくり聴きたくなるのである。
Taylor Swift on "Bad Blood," Kanye West, and How People Interpret Her Lyrics|Chuck Klosterman - GQ
「音楽ジャーナリズム界のハンター・トンプソン」の異名を取るチャック・クロスターマン。ポップカルチャーという窓から見え隠れする時代の社会心理のアヤを描くことにかけては当代随一、抜群の才を誇る。本来なら名作ルポ満載の単行本を手にとっていただきたいところだが、ここでは、テイラー本人が運転する車の助手席に座り家を訪ねる密着取材から、「テイラーは何者なのか?」に迫るこのストーリーの見事なまでの臨場感・立体感を、まずは手始めに、味わっていただきたいものである。
Gossip is Philosophy|Brian Eno|Kevin Kelly - Wired
「コンピューターの問題は、アフリカが足りてないことだよ」。巨匠ブライアン・イーノが残したこの謎めいた言葉は、テック導師ケヴィン・ケリーとの1995年の対談記事で発せられたものだった。巨匠はここで「身体性」みたいなことを論じているはずなのだけれど、じゃあ「アフリカが足りてるコンピューター」が一体どういうものなのか、にわかには想像もできない。結局、この謎の名言に導かれて、この秋『WIRED』日本版では「アフリカ特集」をやってみることにしたのである。
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目的と価値消失
#カルチャーはお金システムの奴隷か?
日本人が知らないカルチャー経済革命を起こすプロフェッショナルたち