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14#未来世紀シブヤ2017

渋谷で観たい名作映画3選 by 大高健志(MotionGallery/popcorn代表)

ARTS & SCIENCE
エディターmasumi toyota
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渋谷という街がその姿を常に変化させていくなかで、この街とミニシアター文化の関係も少しずつ形を変えてきた。あらためて口にすることはなくても、考えてみると渋谷はミニシアターの街だ。上映中の映画を探せば、無意識のうちに渋谷の片隅にある小さな映画館たちにたどり着くことは少なくない。久しぶりに足を運んでみると、そこにはもう別の建物があったりして、もの寂しい気持ちにもなる。だが、今も数々のミニシアターがひっそりとしかし確かに存在し、カルチャーの源泉となって息づいている。

もしもあなたがその作品を観たことがあっても、渋谷という不思議な街に人工的な郷愁を馳せながら再生ボタンを押せば、いつもと一味違ったテクストを感じられるかもしれない。

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【SCRAMBLE】

Video: TokyotheMovie/YouTube

TOKYO!
ポン・ジュノ/ミシェル・ゴンドリー/レオス・カラックス
(2008・韓国/日本/フランス)

日本の映画文化を牽引したミニシアター文化とともに「渋谷」を構成するもの①:渋谷の雑踏を象徴するスクランブル交差点。

四方八方から大勢が一気に集合離散する様がとても珍しく、そしてその状況でも問題が起きないその律儀さ正確さが日本ぽいと、外国の方からはとても注目されている場所だそうです。国内外関わらず、映画を撮影するならここを舞台に撮りたいと誰しもが思う渋谷を代表する場所、スクランブル交差点が象徴的に現れる映画の中で、特に渋谷で観たい映画は『TOKYO!』。過去現在問わず不動の渋谷のミニシアター文化の中心地「ユーロスペース」が製作した本作は、オリジナリティ溢れる作風で世界的にファンの多い映画監督、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノが東京を舞台に競作した豪華なオムニバス・ムービー。渋谷だけでなく東京各地で撮影された意欲作。もう内容以上に、こんなチャレンジが敢行されたこと自体が、今考えても感動で鳥肌ものです。

【HIPHOP】

Video: moviecollectionjp/YouTube

ストレイト・アウタ・コンプトン
F・ゲイリー・グレイ(2015・アメリカ)

日本の映画文化を牽引したミニシアター文化とともに「渋谷」を構成するもの②:HIPHOP。

自分が学生の頃は特にHIPHOPが熱気を帯びて渋谷を席巻していた記憶があります。特に円山町のクラブ街を歩くと、B-BOYとギャル男が混在してひしめき合っている、あの不思議空間にいつも渋谷を感じていました。ミニシアター文化の一角を担い、そして現在休館中となっているのが渋谷シネクイントで観た映画で一番強烈に記憶に残っている作品のうちの1つが映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』。それは、90年代ジャパニーズヒップホップのメッカとなっていたのがシネクイントにも近い渋谷・宇田川町であったことにとても臨場感を感じてしまったからかもしれません。

本作は、Drドレーやアイスキューブを輩出したギャングスタラップの元祖N.W.A.のの真実を描いた伝記映画。かなり長尺の映画にもかかわらず、男達の熱い生き様はただひたすらスクリーンに釘づけにさせられます。登場人物の魅力だけに寄りかからずに、しっかりとドラマを描き切った傑作。生易しい言葉では表現できないゲットーでの生活から、音楽と腕っ節だけで成りあがりそして苦闘する彼らの姿から「自分の足で立って生きるとはどういうことなのか」という問いを突きつけられた気がします。

【CAFE】

Video: kikidondon/YouTube

バグダッド・カフェ
パーシー・アドロン(1987・西ドイツ)

日本の映画文化を牽引したミニシアター文化とともに「渋谷」を構成するもの③:カフェ文化。

カフェマメヒコなど、とても雰囲気と居心地がいいカフェが沢山ありますが、喧騒の中に足を休めることができるさまざまなオリジナリティあふれるカフェがあることが、ファッションの街でもある渋谷の魅力を象徴している気がします。ミニシアター文化といえば誰しもがすぐに思い浮かぶ映画館「シネマライズ」。これまでもこれからも「シネマライズ」なくして渋谷の映画を語る事はできないでしょう。そのシネマライズで1989年に初公開されて大ヒットした映画が『バグダッド・カフェ』。もう30年近くも経ってしまっているにも関わらず、その音楽やルックそして物語のお洒落さはいまだに色褪せません。いつ観ても人生に前向きになれるそんな名画だと思います。

ロウ・イエ『スプリング・フィーバー』やフランソワ・オゾン『スイミング・プール』などリアルタイムでシネマライズで観た思い入れのある名画も数多くありますが、お洒落で粋で読後感に前向きになる感じが、個人的にはシネマライズっぽいと勝手に感じていて、そういう意味で『バグダッド・カフェ』がシネマライズを思い起こすのにピッタリだと思っています。

大高健志
早稲田大学政治経済学部卒業後、外資系コンサルティングファームに入社、戦略コンサルタントとして、主に通信・メディア業界において、事業戦略立案、新規事業立ち上げ支援等のプロジェクトに携わる。 その後、東京藝術大学大学院に進学し映画製作を学ぶ中で、クリエィティブと資金とのより良い関係性の構築の必要性を感じ、2011年に日本での先駆けとしてクラウドファンディングプラットフォーム『MotionGallery』(https://motion-gallery.net)を立ち上げ。以来15億円を超えるプロジェクトの資金調達~実現をサポート。
2017年には、だれでも自分の映画館をつくることができるマイクロシアタープラットフォーム『popcorn』をスタート。

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      100年後、「2017年の渋谷」はどんな姿をしているだろう?