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6 #メインストリームカルチャー化するマリファナ

なぜ「大麻」をメディアは報道できるのか?世界最初の大麻ジャーナリストが語る、日本とアメリカの違い

NEW INDUSTRY
エディターYohei Kogami
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今、「マリファナ」とジャーナリズムの関係は日本と世界とで大きく変わろうとしている

日本では、ラッパーのUZIやD.O.などの大麻取締法違反の疑いによる逮捕のニュースは、報道メディアはもとより音楽メディアやカルチャーメディアまでが報じるまでに至ったが、このタブーに対して切り込んでいく日本のメディアやジャーナリストは現在も多くはない。

一方、今年カリフォルニア州のマリファナ合法化を迎えたアメリカでは、メディア業界のマリファナ報道が大きく変わりつつある。これまで違法と認知され、バイアスに縛られてきたマリファナが法で認めら、消費されるという歴史的出来事の影には、社会に正確な情報を伝え意見してきたメディアやジャーナリストたちの地に足の着いた報道のパワーが、一般人の価値観の変化に影響したことは大きく、その点では日本のメディア業界とは大きな違いがあることが分かる。つまりは、この動きは、先入観を捨てて新しい価値観を受け入れ始めたアメリカのメディアと対象的に、日本メディアが社会的テーマとなったマリファナの世界でもガラパゴス化へと進みつつあると捉えることができるはずだ。

世界で初めて「大麻ジャーナリスト」となったのがリカルド・バッカだ。彼は、転換期は迎えたアメリカのマリファナ業界の最前線を報じるジャーナリストとして長年先頭に立ち、人の固定概念を壊し再構築するチャレンジを行っている。価値観が多様化し続ける現代社会において、価値観や社会を変えるメディアの役割とジャーナリズムの未来はどこに向かうのか? FUZEに対してリカルドが答えてくれた。


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Profile
リカルド・バッカ(Ricardo Baca)

大麻ジャーナリスト、起業家。コロラド州デンバーの新聞社「デンバー・ポスト」の音楽レビューライター、エンターテイメントエディターを経て、2013年に世界初の大麻エディターに昇格。大麻専門バーティカルメディア「The Cannabist」編集長として創刊から就任。2015年にドキュメンタリー映画『巻き紙』(原題:Rolling Papers)出演。2016年フォーチュン誌が選ぶ「アメリカ大麻産業で最も影響力のある人物」に選ばれる。ザ・ガーディアン、Buzzfeed、NPR他、多数のメディアで執筆。2016年退職。2017年1月、大麻産業に特化したジャーナリスト主導型のPR/マーケティングエージェンシー「Grasslands」を設立、CEOに就任。

https://mygrasslands.com/

僕は地元の新聞社「デンバー・ポスト」に2002年、音楽レビューライターとして採用されたのがジャーナリストのバックグラウンドです。2011年にエンターテイメント・エディターに昇格、2013年にデンバー・ポストが大麻に特化したバーティカルメディア「The Cannabist」を立ち上げた際に編集長に昇格しました。2016年12月に退職するまでデンバー・ポストに16年間務めていました。そして、20年以上携わったジャーナリズムのキャリアを離れ、大麻ビジネスで起業しました。大麻に特化したジャーナリズム・マインドなPRエージェンシー「Grasslands」を創業しました。大麻ジャーナリストの視点を通じて大麻産業のビジネスや団体のPRとマーケティングを支援しています。

——音楽レビューライターとして、「SXSW」スタイルの音楽フェスティバル「アンダーグラウンド・ミュージック・ショーケース」(The UMS)を立ち上げたり、音楽ブログ「Reverb」を開設したりもされましたよね。

僕の人生において音楽は常に中心にありました。音楽批評家として、音楽ブログを立ち上げ、音楽フェスティバルを始めていくのは、自然の流れでした。「The UMS」は17年目を迎えて、今では地元デンバーの音楽文化を象徴する重要な音楽フェスティバルに成長してきました。長年かけて、地元のコミュニティに根付いてくれて嬉しいですね。

——音楽レビューライターの経験は、どんな部分で大麻ジャーナリストのキャリアにも活かされていると感じますか?

確実に影響はあります。音楽ジャーナリストとしての経験からは、文化的視点で問題を報道することの重要性を学びました。大麻合法化は、文化的ストーリーなのです。これまで違法だった薬物が合衆国史上初めての正常化が認められ、一般人の生活の一部となりました。法令の導入や政策の実施が私たちの日常にどんな影響を与えるかをさまざまな視点から議論を活性化するために、政府の取り組みの成功も失敗も含めて、私たち大麻ジャーナリストが客観的にレポートする必要があったのです。

——「The Cannabist」を運営していた2013年から2016年、大麻メディアのエディター、ジャーナリストとしてのヴィジョンはどういったものだったのですか?

私はジャーナリストとして真実を伝えることを最も重要視しています。そして「The Cannabist」のメディア編集を統括していた時は、世の中の人々が注目する出来事ばかりフォーカスするのではなく、知られていない出来事や、政府や産業が聞きたくない事実も客観的に報道するスタンスを取っていました。アメリカでは1930年代以降、約80年以上にも渡り、大麻に関する膨大な数の偽情報と捏造された事実が報じられ、拡散されてきた歴史があります。アメリカ連邦政府や州政府によって仕組まれた事実無根な情報ばかりが人々の常識として世の中に浸透していました。僕たち大麻ジャーナリストの目的は、偽情報や偏った考えを非難することではなく、一般常識にチャレンジするニュースや考察、オピニオンを提供することでした。

——大麻を扱う他メディアと「The Cannabist」の違いは何でしょうか?例えば「ハイタイムス」(High Times)のような老舗大麻メディアはどうご覧になっていますか?

「ハイタイムス」は、歴史的に大麻活動家に支持されてきたメディアです。彼らは大麻コミュニティの中で重要な役割を占めてきましたが、40年以上もそのスタンスは変わっていません。活動家たちに有益なニュースや、彼らに価値ある情報を報道してきただけだったからです。「ハイタイムス」の目的は、ただ大麻合法化が全国で成立すれば良しとする考えがあり、決して大麻産業を批評する姿勢はありませんでした。

——2017年大晦日、CNNのカウントダウンイベントで、アンダーソン・クーパーがデンバーの大麻カウントダウンイベントの様子をニューヨークとつないで生中継していたことが印象的でした。

CNNはカリフォルニアの合法化も派手に報道していましたよ。ですが、コロラド州やワシントン州が合法化した4年前と比べて、報道の数は大幅に減っていますね。

——今、メディアによる大麻の報道に何を感じますか?

アメリカでは大麻合法化の波が確実に押し寄せています。新しい時代には、プロパガンダでもセンセーショナル・ジャーナリズムでもない、第三の大麻ジャーナリズムが必要なのです。本物のジャーナリストであれば、果たすべき役割は真実を伝えること。そして、対話する人々の意見を双方から報じることです。「The Cannabist」に導入した私たちの大麻へのスタンスは、「ハイタイムス」とも大手メディアの報道とも大きく異なります。多くのニュースメディアや新聞、テレビ、動画メディアは、虚報や誤情報を集め、過剰に報じて世間の注目を集める手法が常套手段だからです。メディアで大事なことは、産業や政府のパートナーとなるのではなく、正しい情報を知りたい読者とつながることなのです。

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——2012年、コロラド州ではアメリカで初めて成人のレクリエーション用大麻の合法使用を認める州憲法が住民投票で可決されました。

2012年11月に投票で可決し、12月には州知事が現行法の追加にサインしたことで、コロラド州の大麻合法化が始まりました。そして、2014年1月1日に世界で初めて大麻の販売が開始しました。当時、世界中のメディアがコロラド州に注目するほど、グローバルなイベントとなりました。大麻合法化は歴史的な出来事ですから、メディアも大きく報じました。そして、多くのメディアがネガティブな報道を行っていきました。「大麻はゲートウェイ・ドラッグだ」「デンバー市の犯罪を悪化させる」など、メディアが扇動してヒステリー状態を作ろうとさえ感じました。ですが、1月の解禁後、私たち住民は毎日と変わらない日常生活は過ごしただけで、メディアが報じた不安や憶測は現実と大きく異なったのです。

数カ月後の2014年7月、ワシントン州がレクリエーション用の大麻販売のライセンスを供与し始めました。2014年にはオレゴン州とアラスカ州が、2016年にはカリフォルニア州、ネヴァダ州、メイン州、マサチューセッツ州がレクリエーション用大麻の合法化が投票で可決し、その間にも複数の州が非犯罪化に踏み切っています。2016年の大統領選挙を振り返ると、トランプ対クリントンの対決と平行して、9州で大麻合法化の住民投票が行われたことは大きな驚きでした。2018年の中間選挙(2018年11月)が迫る今、ミシガン州など中部や南部の保守派の州を含むさらなる州が合法化へと進むでしょう。

——コロラド州の住民投票で合法化が可決した理由は何でしたか?

2012年にコロラド州で大麻合法化が進んだ理由の一つは、大幅な税収増加の可能性でした。なぜなら大麻販売は主にブラックマーケットで行われ、還元されることはなかったからです。さらに、医療大麻の販売も、連邦政府によって規制された医療市場のみで行われていたため、わずかな税収しか貢献していませんでした。そのため、2014年にレクリエーション用大麻市場の開拓によって、以前よりも大幅な課税が可能になりました。

多くの賛同を集めた理由は、税金の使い方でした。2012年に住民選挙で賛成票を獲得した「コロラド州憲法修正案64」では、レクリエーション用大麻の税収4000万ドル(約45億円)を公立小中学校の修理やリノベーションなど修繕工事に充てることが約束されたのです。それが「ビルディング・エクセレント・スクール・トゥデイ・プログラム」(Building Excellent Schools today)です。このプログラムでは、古くなって壊れている小中学校の機材や施設を修復することを目的として、暖房システムや校庭、体育館の用具などに必要な資金提供を行いました。このプログラムは住民に大好評でした。公立の学校はどの州でも常に節税の対象になり、資金不足ですから。大麻の税収はコミュニティや地域社会に貢献しています。デンバーの西にあるエッジウォーター市は大麻の消費税で市民センターを立て直しています。そこには警察署や裁判所が入る予定です。コロラド州の南にある工業都市プエブロでは、大麻の税収を大学の奨学金として学生に提供しています。そして、コロラド州のストリートや公園、公共施設はかつてないほど安全でクリーンに保たれるようになりました。

雇用にも大きな影響を与えています。2020年までに大麻産業の新規雇用の創出が製造業や政府機関の雇用者数を超えると言われています。これまで安泰とされてきた業界を超えるなんて、国や自治体にとって素晴らしいことです。

——合法化の話題が目立つ一方で、見過ごされがちな学校やコミュニティへの貢献を実現する行政の仕組み作りと住民への理解が浸透していたわけですね。

大麻禁止論者は「子供を守るため」と合法化に反論しています。ですが、毎年全米で行われる大規模な調査「モニタリング・ザ・フューチャー」(Monitoring the Future」や、コロラド州公衆衛生環境局(Colorado Department of Public Health and Environment)が行う「ヘルシー・キッズ・コロラド・サーベイ」(Healthy Kids Colorado Survey)の結果、ティーンネイジャーの大麻利用は合法化以降も増加していないことが分かりました。州保健局と合衆国政府によれば、成人利用が合法化された州ではティーンネイジャーの大麻利用は大きく増えていないのです。こうしたデータは多くの人は未だに知らないので、今後は新しい発見の効果を伝えていくよう務めていきます。これらの発見は、バイアスの無い観点から大麻産業の問題に取り組もうというモチベーションにもつながっているのです。

——日本では大麻の報道は犯罪に関するものか、サブカルチャー/アンダーグラウンドカルチャーの話ばかりで、アメリカのメディアのように社会情勢を読者に伝える姿勢やジャーナリストは目立ちません。

どんな時代でも、ジャーナリストの役割は公平に真実を伝えること。そして、両側の論点とナラティブをレポートすることです。そして、一般社会を教育することもジャーナリズムの責任の一つです。もしそのジャーナリストが過去に作られた偽情報や、産業に有利な情報ばかりを盲目的に繰り返す記事だけを書くのであれば、その人物はジャーナリストを名乗る資格はなく、社会に対する責任を果たしていません。本物のジャーナリストは真実を見つけ届ける人です。

大麻が引き起こす損害や中毒性のリスクについても公平に報じるべきですし、その他の薬物のリスクについても報じるべきです。アメリカ合衆国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services)が管轄する研究所であるアメリカ疾患管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によれば、年間約9万人がアルコールが原因で命を落としています。そして毎年3万5000人以上がオピオイドで亡くなっています。大麻ジャーナリストは、こうした現代アメリカのデータを集め、大麻の本質を現代のコンテクストで一般社会に向けて伝える必要があります。世界には、政府寄りなジャーナリスト、政府が報道したいプロパガンダばかりを繰り返し報じるメディアが数多く存在します。彼らが政府のプロパガンダや情報操作を受け取り、片方のコミュニティにネガティブなイメージを植え付けるよう偽情報を拡散し続けていく状況は危険です。

——合法化の話題のように、目の前の話題やバズワードに飛びつくメディアは増えていますか?

アメリカでは以前とは比較にならないほど、圧倒的な知識と客観的データを持った大麻メディアが立ち上がり、犯罪の報道よりも、合法化、履行、正常化、商業化の話題を取り上げる姿勢が着実に根付いてきました。「大麻の正常化」はアメリカの新しい法律となりつつあります。その一方で、正常化が広まれば、一般市民やメディアからの注目は減っていきます。大麻合法化のニュースは、普通のニュースと同じように取り上げられるようになっています。しかし、この状況は危険です。メディアは大麻産業の責任、監視機関の責任を追求し続けなければいけないからです。そうした責任を考えると、私たちはThe Cannabistの仲間を誇りに思います。産業に糾弾する記事も書き、政府の取り組みを称賛した記事も書きました。私はカナダの取材から帰ってきたばかりですが、カナダのジャーナリストも確固たる信念を持って、大麻合法化を公平に報道していたことに感銘を受けました。カナダは主要7カ国(G7)の中では初めて合法化を国家レベルで承認した国だからこそ、ジャーナリストが合法化の成功も失敗も隠さずに伝えてナラティブを変えてくれることへのインパクトは大きいのです。

——情報を発信するメディアで働く者にとって、求められる意識とは何でしょうか?

アメリカのメディアにとっても、今まで存在しなかった大麻を社会問題として取り上げるには複雑すぎるテーマです。特に、専門的な知識を持たないメディアが、大麻の合法化、正常化のストーリーを取り上げるには課題が多くあります。規制の歴史、政策と法律、文化背景、産業の未来。カバーする領域は膨大だからです。さらに、客観的かつ白紙の状態で問題を直視するべき役割を担っているジャーナリストでさえ、偏った情報に繰り返し接触してきたことで、嘘でも真実と思い込んでいる人は多くいます。ジャーナリストでも一度学んだ知識を学び直すことは難しいのです。大麻の報道は、オープンなスタンスを持つジャーナリストとメディアが取り組むべきです。メディア産業も大麻への認識を変革する必要に迫られています。

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——これまで評価を受けてきた大麻ジャーナリストとしての活動を離れ、起業されたことには、どんな想いがありますか?

私は今後もジャーナリストであり続けます。今も執筆の仕事は続けています。「Grasslands」で産業の一部になれればと思っています。クライアントが「Grasslands」を選ぶ理由は、ジャーナリストの一貫性を私たちが維持し続けているからだと感じています。信頼できるデータを使ってあらゆる角度から掘り下げて最高のストーリーと我々の主張を書くことが求められているのです。大麻PRエージェンシーとして、数多くの企業や団体の仕事を断ったりもしました。今月始めにも一件断りました。エージェンシーが目指す基準に満たないと私が判断したからです。「Grasslands」では、倫理的なマーケティングPRを大麻産業で正当化させ、世の中にある大麻PR団体とは異なったやり方を目指しています。

大麻産業はメディアが良いストーリーを作るだけでは変わらないでしょう。ナラティブを変えなければなりません。その点では、大麻産業は今、非常に良い立場にいます。

——政治家や政府機関と大麻コミュニティとの関係も改善されてきているのですか。

合法化が問題視される政治的世論は減ってきました。これまで大麻合法化に賛成する政治家の多くは民主党でしたが、税収増や新規雇用の現実を知った共和党の議員も合法化を視野に入れ始めました。何より、今まで大麻を誤解、拒絶していた政治家たちも正しい情報を得ようと歩み寄り始めています。

——大麻を麻薬として問題視する時代から、公共政策として取り扱う時代へ移行が進んでいるようですね。

大麻合法化の影響が大きく現れたのは、目に見える私たちの日常生活ではなく、政府の麻薬政策でした。行政は大麻を麻薬問題や犯罪問題ではなく、公衆衛生問題として捉え始めています。合法化されたことによって、大麻のブラックマーケットは各地で減少しています。大麻栽培ビジネスが拡大した影響です。行政の監視による犯罪取締や違法行為を侵す者たち、大麻使用の逮捕件数も減りました。政府の対応に変化は生まれる一方、コロラド州の人々の生活は大きく変わっていません。アメリカ各地の行政は今、新しい世界の常識に直面しているのです。

——反対に、アメリカ合衆国は未だに大麻を違法麻薬規制の対象にしています。

州政府と違い、アメリカ連邦政府は長きに渡って大麻を違法に定めています。1933年に禁酒法が廃止された後、社会のスケープゴートとして大麻を禁止したのが始まりです。1936年に公開されたカルト映画『リーファー・マッドネス』など、いかに大麻が危険なゲートウェイ・ドラッグであるかを訴求するプロパガンダ作品を利用して、アメリカ世論にネガティブイメージを植え付けてきたのです。そして1970年代に「麻薬戦争」(War on Drugs)を掲げ、1970年の「規制物質法」(Controlled Substances Act)に署名したリチャード・ニクソンによって大麻の利用、製造、所有、売買は犯罪となりました。また当時のニクソン政権は、大麻を褐色人の犯罪と結びつけるよう世論をコントロールしていきました。ニクソンや政治家たちは大麻犯罪をメキシコ人や褐色人のせいだと決めつけ、メディアは情報を裏取りすることなく犯罪のニュースばかりを報道するようになりました。僕は先住民とメキシコ人の子孫です。ですが、世代を超えても消えない「社会的烙印」が押されてしまいました。このスティグマは、合法化の波で一般市民の中では消え始めていますが、合衆国政府や連邦議会の中では未だに根強く残っています。トランプが好例ですね。アメリカ司法長官ジェフ・セッションズは今年1月、オバマ大統領時代に司法長官代理を務めたジェームス・コールが大麻規制の見直しを州単位で見直すよう連邦検事に勧告するために作成した文書「コール・メモ」(Cole Memo)を撤回したことで、州政府と連邦政府で考えの相違が浮き彫りとなりました。「コール・メモ」の無効化は大麻起業家たちに影響を及ぼすはずです。

——大麻の未来が現実に追いつき始めている今、何が必要だと感じますか?

政治家に問題の改善に向けてさらにアプローチをかけるべきです。2016年の大統領選挙の際には、大麻が議論されることは本当に少なかったのですが、2018年の中間選挙、そして2020年の大統領選挙では、大麻は大きな論争を呼ぶでしょう。政治家は議論に参加しないわけにはいきません。ですが、彼らの多くが未だに旧態依然の情報と認識しか持ち合わせていないことは、大きな不安要素です。

イギリスでは、てんかん持ちの子供を持つ親たちが政府に大麻の規制を見直すように迫っています。ヨーロッパ、南米、中央アメリカでも、政府と政治家に対するアプローチが徐々に実を結び始めています。東南アジア、中国、日本ではまだまだ世界とは差があるのは知っていますが、改善するのも時間の問題だと思っています。大麻は現代社会においてグローバルな議題になっているからです。

——注目しているトレンドはありますか。

5年前まで違法扱いされていた薬物が驚くべき速度で合法化へ進み、商用大麻へのアクセスが容易になったことで、新たな起業の機会と、テクノロジーのイノベーションが誕生しています。特に、大麻の摂取方法は、巻きタバコやパイプなど喫煙器具で蒸気を吸入する従来の方法から、坐薬や合成チンキ剤、舌下錠などの開発が進み、多様化しています。特に「ヴェポライザー」の領域は、多くの技術的進歩が見られ大変な注目を集めています。新しいテクノロジーのアイデアを導入して魅力的なデザインのヴェポライザーを開発する起業家たちが多く現れました。そして、今はさらに開発が進み、一定のカンナビノイド含有量を正確に送る技術を搭載するヴェポライザーも販売されています。デンバーで起業した大麻スタートアップ「GoFire」は、ユーザーが望む含有量を制御する世界初のヴェポライザーと投薬アプリを開発しています。テクノロジーの観点で私が最も関心ある領域です。

消費の観点としては、コロラド州では一般消費の推進があまり進んでいません。自宅以外で安心して使用できる場所が少ないからです。コロラド州で大麻フレンドリーなバーやラウンジは10箇所未満なのです。カリフォルニア州では大麻ラウンジや大麻バーが主要都市でオープンしています。購入も生産も認められましたが、消費する場所も、リベラルな州では大麻消費者に優しい法律の策定を目指す州も増えています。こうした行政の政策は非常に明るい話題です。

レクリエーション用大麻産業はメインストリーム化したと言えますね。街で大麻の広告を見ることはありませんが、大麻産業は白人優位な産業となった。大勢の投資家や起業家が参入してきた。アメリカではメインストリームの傾向にあります。大麻産業は本物です。大麻支持者たちは誇りを持って、これからも社会の偏った一般常識を正すため前進していくのです。

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