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1デジタルとフィジカルを超える

YouFab Global Creative Awards 2016:これからの「デジタルファブリケーション」とは?

IDEAS LAB
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ライターmayumine
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デジタルファブリケーションという言葉が聞かれるようになって久しい。

デジタルファブリケーションとは、レーザーカッターや3Dプリンター、CNCマシンといったデジタル工作機械を用いて、デジタルデータをもとに紙、木材、アクリルなどの素材を加工し、成型する技術の総称だ。

日本でも、全国16カ所に展開するFablabや、FabCafeTechshopMakers Baseなど大型の工房施設が増え、誰でも「デジタルものづくり」に参加できる機会は年々広がってきた。

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例えば、自宅の3Dプリンターを使って「無くしてしまったネジ」や「このワンピースにぴったりなハンガー」を3Dプリントするという今すぐに実現可能な未来から、すでによくある身近な話としては「結婚パーティー用の名札を、自分たちらしいオリジナルデザインを用意して50枚くらい作る」といったことまで、これまで工場で高いコストと長い時間をかけなければできなかった「ものづくり」が手軽にできるようになった。

一部の研究室でしかできなかったデジタルファブリケーションは、今ではFabCafeなどの施設に行けば、初心者でも扱うことができるようになった。

「デジタルファブリケーション」と「オープンデザイン」を象徴するエピソードをあげるなら、日本のデザイナーが手がけた革のスリッパのデザインをケニアの人たちに提供したら、最終的にはオバマ大統領にまで届いたという話がある。

世界を旅するオープンデザイン

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ある日、ケニアにあるFabLabからFabLab鎌倉に1通のメールが届いた。

現地の人々の仕事を創出するために、現地で手に入る革を使ったプロダクトを作りたい。そこで、kuluskaがデザインした、レーザーカッターと手縫いで作るレザースリッパの展開図をクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)で提供してもらえないか

ケニアの人たちの役に立つなら、と快くデザインデータを提供したkuluskaの藤本直紀さんと藤本あやさん。すると、ケニアの人たちはスリッパのデータを改変してオリジナルの彫刻を施したり、フリーソフトで現地の人が自由にサンダルのデザインを改変できる仕組みができあがっていった。ケニアの人々が自由にものづくりをする機会となったレザースリッパの話はさらに続く。

ケニアのFabLabメンバーらが、オバマ大統領の祖母であるサラ・オバマに、オバマ大統領の顔が彫刻されレザースリッパをプレゼントした。そして2014年にホワイトハウスで開催された「White House Maker Faire」では、サラおばさんの顔がレーザー刻印されたレザースリッパがオバマ大統領に届けられたのだ。

鎌倉のデザイナーがデザインしたスリッパは、誰でも自分のアイデアやクリエイティビティを加えることができ、さらにものづくりを体験できる優れたデザインの「型」となり、地域にある素材と地域のアイデアを生かしながら、共創する新しいものづくりのカタチが有機的に生まれていった好事例だ。

現在進行形のMAKE文化

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デジタルとフィジカルなものづくりの高度な連携によって生まれたプロダクト。デバイスから、アート、建築、さらにはアクティビティなどのプロジェクトまで、デジタルとフィジカルの双方を利用したものづくりは、3Dプリンターやレーザーカッターを駆使するメイカーたちと世界各地のファブスペースから生まれた、現在進行形のMAKE文化と考えられる。そしてこの流れを推し進める、企業やコミュニティを巻き込み、時代と共に拡張している。FabCafeが毎年主催する、デジタルファブリケーション領域の優れた挑戦を表彰するYouFab Global Creative Awards 2016は、「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性=Fab(ファブ)」として捉え、デジタル工作機械を用いてつくられた新時代のものづくりを評価するグローバルアワードの一つだ。そしてデジタルファブリケーションの未来をこのように想像する。

予想を超える速度で進化しているデジタル技術は、バーチャルな領域とリアルな領域の境を曖昧にし、ものづくりの世界を大きく拡大し始めています。それは「ビットとアトム」、「データとモノ」、「サイエンスとクリエイティブ」、「理系と文系」、「既存と新規」など、あらゆる領域をまたぐ拡大です。

レーザーカッター、3Dプリンター、CNCマシンなどで始まった、デジタル技術によるものづくりの変革は、この拡大のほんの入り口にすぎません。これから、さらに進化するデジタル技術が繋ぎ手となりエンジンとなり、従来の境界を越え、ものづくりを拡張していきます

この「次世代のクリエイション×Fab」の特集では、過去のYouFabの入賞作品を取り上げて、デジタルファブリケーション技術を取り入れた、未来を変える新たなアイデアや作品、そしてクリエイターを紹介していく。

note:「YouFab Global Creative Awards 2016」はロフトワークがスポンサーをつとめており、本ライターはロフトワークの所属です。