一見すると、ビジネスの話がメインと思われがちな、イギリスのEU離脱こと「ブレグジット」。
ドナルド・トランプ大統領誕生や、Metoo運動と同じ、もしかしたら、それ以上に様々な影響を人と社会に残すだろうとされる世紀の決定。だが、2019年3月を機に、ブレグジットで最も大きな影響を受けるのは、実は若者だとも言われている。
若者の定義は国それぞれだが、「ブレグジット」は、未来の社会の在り方を考えてみるきっかけとなるだろうと感じている。生活や社会はいきなりは変わらない。だが、小さな変化の蓄積やそこから生まれる摩擦、関わり方によって、日本や世界が今直面している、社会課題や認識の違いをさらに浮き彫りにしていくはずだからだ。
そうした時代のなかで今、ロンドン発のポップカルチャーが、久しぶりに世界的な注目を集めている。
例えば、サウス・ロンドンは新しいストリート・カルチャーの発信地として活況を呈する。アルバニア人の両親を持つ移民家族出のデュア・リパは、ロンドンが生んだワールドワイドな人気を獲得するポップ・スターの新世代となっている。音楽に止まらず、ファッション、アートなど多種多様なジャンルの新世代クリエイターたちの台頭が、ロンドンのユースカルチャーをこれまでにない商業的・文化的成功へと導いている。2010年代のグローバルなポップ・カルチャーのスタンダードは完全に北米主導だと思われていた。しかし昨今では、ここ数年で確実に息を吹き返しつつあるイギリスが、新しいオルタナティブを世に送り出しているのです。
そんななかでのブレグジットだ。2010年代が終わりに近づき、統一や安定が望まれつつも、拡大する大人主導の分断に対して、新しい価値観や多様性、エネルギー溢れる世代は何ができるのだろうか?
今回FUZEでは、ジェントリフィケーションやコミュニティに象徴される、ロンドン発のユースカルチャーの最前線に迫る。今ロンドンという場所やコンテクストを軸に活動する新世代たちに触れること。それは、日本や世界に共通する社会の先行き不透明感や、閉塞感、ガラパゴス感と対峙する方法や、現代社会との共存方法を判断するための指標になるだろう。
目的と価値消失
#カルチャーはお金システムの奴隷か?
日本人が知らないカルチャー経済革命を起こすプロフェッショナルたち