トーマス・エジソンが発明するつもりだったものリスト
IDEAS LAB努力の人、とも呼ばれるトーマス・エジソン。現代の私たちの生活にも大きな影響を与える発明を数多く残した発明家だ。彼がToDoリストに残していたことを見れば、もしかしたらあなたもアイデアを書き出したくなるかもしれない。
「アイデア」という物理的でない存在を紙に書き出すことは、その考えを現実に近づけるための第一歩とも言えるだろう。記されて初めてそれを科学的に吟味し、具体的な計画を練ることが容易になるのだ。それに、エジソンの頭の中にしか存在しなかったアイデアが紙に記されたことで、こうして後の世代(我々)がこれを読むことも可能になった。
エジソンの蓄音機が成し遂げたこともこれに通ずる。「音声」という空気の振動にしか存在できない束の間の現象をレコードに記し、誰もが後にその現象を追体験することを可能にしたのだ。もちろんアイデアを物理的に残すことはそれが盗用される可能性も増すが、それと同時に自分には不可能に思えたアイデアが可能になることだってあるだろう。

1888年1月3日。エジソンがニュージャージー州West Orangeに新たな研究所を開いて1カ月ほど経った頃に残した、彼のアイデアノートには「現在行なっていることとなさねばならぬこと」という、今で言うところのToDoリストが5ページに渡って書き記されている。米公共放送サービスPBSが紹介しているので見てみよう。
このとき、グラハム・ベルらは10年前にエジソンが開発した蓄音機を改良することに取り掛かりはじめており、それがエジソンに火をつけたようだ。
現在行なっていることとなさねばならぬこと

コットン収穫機新規格蓄音機
ハンド・チューニング蓄音機
新たな低速安価ダイナモ
新たな膨張熱磁気ダイナモ
聴覚障害器具
電気ピアノ
蓄音機を採用した長距離規格電話送信機
ttによるパラフィンもしくは他の絶縁体に入ったFe [訳注: 鉄]の電話コイル
プラチナ・ポイント・トランスを用いた新たな録音デバイス
電話用のGredバッテリー
長距離電話用 同上
フォノプレックス用 同上
ジャンプ電報用 同上
電圧計用 同上
残留磁橋を改良し実用的に
モトグラフ・ミラー
同上 リレー
同上 電話実用可能な
人工ケーブル
100ボルトckts [サーキットの略と思われる]で動く音モーター
フォノシリンダー [シリンダーレコード]の複製
レースに真空被覆、金+銀、コットンにも光沢のある表面を融解化合物で絹を再現―被覆システムreg [register登録の意味か?]
真空式鉱物採鉱機
大きな磁性分離器
砂鉄の固定素材
と、こんな調子で5ページに渡り続く(他のページに記されている内容はPBSで確認可能だ)。小難しい響きの発明に関するアイデアの走り書きが主なものだが、中には奇抜だったり面白そうなものもある。
豪雪のときに役立ちそうな「雪圧縮機」、「人工真珠」は宝飾品としての利用かはわからないが宝石である真珠を人工的に作ろとしたものだろう。「牛乳から直接バターを出す」など食品に関連するものまであるし、1800年代前半に点字(Braille)が考案された後ではあるが「盲人のためのインク」(Ink for blind)があるのも興味深い。
このエジソンの記したToDoリストが他人に見せることを意識したものかはわからないが、こうして我々の目に触れることでまた新たな発明が生まれるかもしれない。
トーマス・エジソンほど時代を先行く発明アイデアはなくとも、頭のなかにあるアイデアをただ書き出すだけでもスッキリするものだ。それを共有すれば、「もうそのアイデア実現化されてるよ」なんて知り合いが教えてくれることだってあるだろうし、一緒にそれを現実化する友も見つかるかもしれない。手が空いたときにでも、紙とペンを手に頭の中をアウトプットしてみるのはいかがだろうか。
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