音楽で深く潜る「攻殻機動隊の世界」。『DEEP DIVE / 攻殻機動隊 in TOKYO NODE』レポート

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3月7日(土)、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの45〜49Fに位置する「TOKYO NODE」にて、音楽イベント『DEEP DIVE / 攻殻機動隊 in TOKYO NODE』が開催されました。

本イベントは、2026年1月30日(金)〜4月5日(日)まで開催の大規模展覧会『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』の会期中に、展覧会内の2会場(TOKYO NODE HALLとGALLERY A)を横断するサーキット型企画として実現したもの。

当日は、ヘッドライナーのTHE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITESに加え、80KIDZ、D.A.N.、RISA TANIGUCHI、Night Tempoら豪華ラインナップが集結。事前にチケットがソールドアウトするほど注目を集めていただけあって、攻殻機動隊ファンと音楽ファンが入り混じった会場は、終始熱気に包まれていました。

Video: Ghost in the Shell Official Channel/YouTube

バンドの熱狂と、摩天楼の静寂

ライブアクトが出演したTOKYO NODE HALLは、ガラス張りの壁面越しに東京の夜景が広がる開放的な空間。巨大スクリーンにはVJ陣による攻殻機動隊のアニメシリーズの映像素材が贅沢に使用された没入感のある映像が投影されました。

筆者が個人的にイベントの見どころのひとつと感じたのは、映像が途切れる瞬間、スクリーンの向こうにふと現れる東京の夜景です。これが作中で草薙素子の部屋から窓越しに映る夜景と驚くほど似ていて、思わず息を呑みました。

Video: Ghost in the Shell Official Channel / YouTube

トップバッターのD.A.N.は、VJのRYUICHI ONOが映し出す、1995年劇場版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のネオン街に佇む草薙素子の映像などをバックに、「SSWB」や新曲「Daydreaming」を含むセットを披露。彼らのメランコリックな音像と、作中で描かれた近未来都市の空気が共鳴し、会場を一気に「攻殻機動隊」の世界へと引き込みました。

Video: Ghost in the Shell Official Channel / YouTube

続く80KIDZは、VJのTaiyo Yamamotoによる「義体化(シェルリング)」プロセスの映像などをバックに「Miss Mars」や「I Got a Feeling」といった代表曲や、近作の「Don't Cry」なども交えたライブを披露。エレクトロサウンドとサイバーパンク的な映像が溶け合う空間に、観客は酔いしれていました。

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©︎ 士郎正宗 ・ 講談社 / 攻殻機動隊展 Ghost and the Shell 製作委員会
THE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITES

そして、このステージの大トリを飾ったのは、ヘッドライナーのTHE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITES。2026年はTHE SPELLBOUNDのデビュー5周年であり、BOOM BOOM SATELLITES 川島道行の10周忌にあたります。

Video: Ghost in the Shell Official Channel / YouTube

その特別な文脈を背負ったステージでは、BOOM BOOM SATELLITESの楽曲「Dive for You」や「Kick It Out」を中心としたセットリストを披露。序盤からフロアは熱狂に包まれていましたが、このパフォーマンスを映像面から支えたのはAphex Twinの映像演出で世界的に知られるWEIRDCOREです。攻殻機動隊を象徴する「義体の指が分裂した超高速タイピング」の映像などが、スクリーンに投射されながら、バンドのアグレッシブなデジロックサウンドとシンクロしていく様は鳥肌ものでした。

ダンスフロアと化す、電脳空間

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©︎ 士郎正宗 ・ 講談社 / 攻殻機動隊展 Ghost and the Shell 製作委員会

一方、もうひとつの会場となったGALLERY Aは、通常の展覧会期間中は巨大インスタレーション「Nerve Net」が展示されているフロアです。

当日は、攻殻機動隊全シリーズのシーンを検索できるこの電脳空間が、DJブースとバーカウンターを備えたダンスフロアへと変貌。サイバーパンクな空気がそのまま残る空間にYOSHIROTTEN、machìna、RISA TANIGUCHI、TREKKIE TRAX CREW feat. なかむらみなみ、Night Tempoが出演し、思い思いに攻殻機動隊の世界観を表現したDJセットを披露しました。

中でも国内外で精力的に活動するRISA TANIGUCHIは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の硬派な映像を背負いながらクールかつハードなテクノセットを展開。現実に出現した電脳空間の空気をよりスリリングに演出していました。

また、イベント終盤に登場したNight Tempoは、80年代の日本のアイドルポップスや昭和歌謡をダンスミュージックに再構築する「フューチャー・ファンク」な曲を次々とフロアに投入。攻殻機動隊との組み合わせは一見意外ですが、ネオ昭和的なサウンドがサイバーパンクな空間で鳴り響く光景には不思議な説得力がありました。


今回のイベントでは、攻殻機動隊の映像が単なる背景演出ではなく、各アーティストの音楽と呼応する形で選ばれ、パフォーマンスと一体化していたことが特に印象に残りました。

その映像が巨大スクリーンだけでなく、背後に広がる現実の東京の夜景とも重なり合うことで、虚構と現実の境界が溶けていく──。そんな攻殻機動隊がシリーズを通して描いてきた光景が目の前に広がっていました。もし、また「DEEP DIVE」が開催されるなら、次回も迷わず"潜り"に行きます。

Source: 攻殻機動隊展